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たま vs 神尾観鈴
怪説者だよもん氏による観戦記
<一回戦・Cブロック第一試合  たま vs ◎○神尾観鈴 観戦記>

怒涛の3日間を終え、今日からは1回戦Cブロックの試合が行われる。
その第一試合に登場するは、AIRのメインヒロイン神尾観鈴と、ナイト雀鬼・LF97・NWに登場し、
痕にも少しだけ絡む化け猫「たま」だ。
作品の知名度や物量の面で観鈴が圧倒的に有利と見られ、戦前評は「1回戦で最大の票差が開く」
「問題はどれだけの得票差がつくかに絞られる」といった論調が多い。観鈴スレは楽勝ムード、
一方たまスレは玉砕覚悟と、両キャラスレ住人もそのことは当然の前提として受け入れていた。

AIR3人娘+1の競演AAで良い感じにスタートした観鈴陣営。しかし、たま陣営は秘策を用意していた。
試合開始直後にアップされたのは実猫の萌え写真。一見他愛のないこの攻撃が、休日の会場のお祭り
ムードをがっちり取りこみ、たまブームを巻き起こす。調子づいて次々と実猫写真をアップするたま
陣営に対し、予想外の展開に慌てる観鈴陣営は画像投入のピッチを上げるが、なかなか流れを
引き戻すことができない。1:00頃には戦局に苛立つ観鈴派(?)から「みちる、さいか戦では幼女が
ものすごい勢いでおやじを犯している画像を貼りまくる」とのテロ予告まで飛び出す。
序盤戦は1:00にたま84対観鈴79、2:00に127対127、3:00に148対148と、大方の予想に反して全く互角の
展開だった。
ここまで応援を見ていると、たま陣営は定番・雀鬼組応援団氏の連作SSや数々の自作CG等で会場を
湧かせ、決して奇手ばかりではない。対して観鈴陣営は、既製CGを数々打ち上げるほか、qA/CNilB氏
らのSS、音声・音楽データ等でアピールするも、会場の雰囲気に呑まれがちだった。
深更、焦る観鈴陣営の最前線に、前試合の英雄・松山くん氏が姿を現す。彼はこの試合では一時間弱で
ピッチを去ってしまうのだが、観鈴陣営の士気は一変、文章系小ネタやSSを連続投入してにわかに
活気付く。ちょうどこの頃、さすがに疲れがでたのか、たま陣営は援護が休止しており、この時間帯が
重要な転回点となった。
6:00の集計結果では観鈴180対たま166と、観鈴陣営はこの試合初めて主導権を握った。

地力に差があるだけに、たま陣営は一度譲った主導権をなかなか取り返せない。雀鬼組応援団氏の連作は
朝方と昼間に発表されるが、序盤と違ってなかなか後続がない。一方観鈴陣営は「名無しさん、セミっぽく
ない?」氏、MArkaidy(611)氏らの中篇SSなど、文章ネタの即興の援護も大量に投入され始める。
ようやくエンジンのかかってきた観鈴陣営は、12:00で251対206、14:00で279対228とたま陣営に差をつけ始める。
昼間は萌えとは無関係の議論でレスばかりが流れていく。この間は両陣営からの援護も流れに埋没しがち。
観鈴陣営ではいつのまにか触手祭りが開催され、会場の雰囲気は混沌そのものだった。
スレを移して仕切り直しとなった16:30頃、たま陣営は応援歌シリーズやfiOKTTtk氏のエロシチュ群
等を投入し、にわかにペースアップ。しかし観鈴陣営もここまで秘蔵していた画像、応援SS、萌えシチュや
ギャグ・エロ両面の続き物等で応戦する。先に手数が少なくなったたま陣営は8頭身ネタなどでピンポイントに
盛り上げ、食らい付くのが精一杯といったところ。20:00の最終中間集計では337対281と、観鈴陣営は
依然50票程度のリードを保っていた。
両軍ストックを吐き出した終盤でこの票差は厳しいが、それでもたま陣営は「いち雀鬼ファン」氏が
21:19に、Wg0HK28x(696)氏が何と22:28にそれぞれ自作CGをアップするという脅威の粘り。その一方で
次に雀鬼勢からトーナメントに出場するエビルについてもちゃっかり宣伝する。観鈴陣営の方も、
22時以降までSS・萌えシチュを投入するなど、最後まで手を抜かない。残り30分近くでは両陣営の顔とも
いうべき雀鬼組応援団氏・松山くん氏がそれぞれ姿を見せ、試合が終わりに近づいていることを実感させる。
23:00、ちょっとした騒ぎに会場が気を取られている間に試合は終了。結局437対309と、観鈴が終盤で
たまを大きく突き放した。

勝敗自体は戦前評通りだったものの、予想外の激戦となったこの試合は、「場」の雰囲気というものの
恐ろしさをまざまざと見せ付けた。大衆を動かすのは千言の説得よりも一発のギャグ。下馬評の高い者ほど
流れを適当にいなして引き寄せる大度が求められるという、本トーナメントの過酷な現実が見て取れた。
無論、ネタの少ないたまをここまで押し上げたたま陣営の戦いぶりは、「場」の雰囲気云々を差し引いても
素晴らしいものだった。彼らの想像力には、脱帽の限りだ。


<一回戦・Cブロック第一試合  たま vs ◎○神尾観鈴 分析>

和んだ試合の次は荒れる。その格言通り、波瀾に富んだ展開となったこの試合。たま陣営の奇策を
今後禁じ手とすべきではないかとの声も出たが、奇策にはそれなりのリスクが伴っており、安易に
頼れば確実に観衆の興を醒ます。今回限りの一発ネタとして、素直に笑うのが賢明だろう。
終盤の状況から大会の先行きに不安を感じた向きもあろうが、「一度使った手はもう通用しない」のは
何も出場する各陣営に限ったことではない。自分も一観戦者として、何よりも己が楽しむために、
今回の教訓を生かしたいと思う。

大健闘しながらも奇跡を起こせなかったたま陣営。中には鉄板レースを嫌ってなんとなく入った票が
混じっていることは否定できないが、奇襲で先制、正攻法に繋いで応援では負けていないことを観客に
印象付けた戦術は見事の一言。相対的にマイナーな陣営の戦法としては模範的だ。

雀鬼・NW勢としては、極言すれば負けてもともとの試合を捨てずに作品世界の魅力をしたたかに
アピールした。実際、彼らが試合に出るたびにNWのプレイ層は拡大している。次なる雀鬼勢エビルは、
当ブロック最終戦で沢渡真琴と対戦。当ブロックもう一方の優勝候補と目される強豪真琴陣営も、
この一戦で雀鬼勢恐るべしとの認識を新たにしたことだろう。ハイレベルの攻防が期待される。

苦しんだ末勝利を手にした観鈴陣営は、優勝候補対マイナーという構図そのものが浮動票を敵陣営へと
押しやっており、その意味では逆に不幸だった。しかし、同情票は萌えではないという正論も
戦場の雰囲気では簡単には聞き入れられないし、まして暴言の類は敵を増やすのみ。CGの貼り方一つを
取っても、松山くん氏が貼れば会場全体が和むという辺りに重大なヒントがあるのではなかろうか。
また、中立層に対して萌えを訴えかける姿勢に欠けていたとの指摘も、こと序盤戦に関しては
一面の真実を捉えていただろう。
さすがに後半は素早く態勢を立て直して層の厚さを見せつけたが、この試合が横綱の風格に傷を付けた
のではないかという点が、やや気懸かりだ。

さいかを除きAIR勢はこれまで美凪、裏葉、観鈴と、いずれも戦前有利と言われていながら実戦では
思うように事が運んでいない。AIRファンは、この試合でも散見された「AIRはキャラ萌えとはベクトルが
少し異なるのでは?」という意見も、妄言と切り捨ててばかりはおれないように思う。
どちらかと言うと玄人好みの晴子、聖、みちるは戦略が立てやすそうに思えるが、観鈴とは逆に
初戦からブロック大本命とぶつかる佳乃、ほぼ互角と予想される神奈は、萌えのアピールに工夫が
必要だろう。みちるの試合は一応テロにも要警戒だ。
二回戦の相手は明日の岩切花枝対日吉かおり戦の勝者。葉鍵板ではコアなファンを持ち、出身作も
人気というか話題性は十分の岩切と、梓を絡めれば色々な手が使えそうなかおり、どちらが上がって
くるか予測は難しいが、いずれも分類するなら軟投派タイプ。正統ヒロイン故に変化球には意外な
脆さをみせた観鈴陣営にとって、相性の悪い相手と言えそうだ。次こそブロック優勝候補筆頭の貫禄を
見せられるのか、1ヶ月間の成長に注目したい。

gnuplot氏作成グラフ


観鈴437−たま309で観鈴の勝利!!