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神尾観鈴 vs 岩切花枝
突発性回折病氏による観戦記
<二回戦・Cブロック第1試合  ◎○ 神尾観鈴 vs 注  岩切花枝  観戦記>

 三部構成のAIRシナリオにおいて、三部すべてに関わってくるのは攻略可能ヒロイン三人のなかでも 
彼女だけ。AIRを象徴するメインヒロイン神尾観鈴。対して、シナリオを除けば良作と言われる誰彼。 
最期があまりにアレなため、ある意味誰彼を象徴すると言えなくもない脇ヒロイン岩切花枝。 
 戦力差は歴然としており、観鈴の順当勝ちという予想が大半である。 
 人魚vs翼人のプチ人外対決。年明け早々の大一番である佐祐理vs七瀬の大激戦の余熱が冷めや 
らぬまま、リング穴joe氏のコールが会場に響いた。 

 まずは恒例の“車”狩り。冬休み中に車を乗り換えた名雪車が一分遅れて入場、一分過ぎのわりに 
レスが少ない会場を走り抜けて逃げ切った。ここで観鈴サイドからは画像の投下、岩切サイドからは 
10分過ぎに入場SSが投下されて序盤戦がスタートする。 
 開始直後、「萌え画像」や「本編の感動を追想」といったオーソドックスな萌えを展開する観鈴に対し 
て、岩切はやはりと言うべきか「超」の文字がちらほらと見える。切っても切れない親(超先生)との縁は 
どう影響してくるか。 

 サッカー中継風「ゴール」ネタ(このネタは終盤まで残った)が観鈴サイドから出ると、岩切サイドは 
画像支援をアップ。ヴィジュアル面では一定の評価を得ている誰彼画像に、ネタでない萌えコメントが 
寄せられた。ここで吉井vs石原麗子戦で活躍した元254氏も参戦。シナリオへのツッコミネタやWebマンガの 
誰彼支援を、豊富な観鈴画像と熱い投票コメントが迎え撃つ展開となった。萌えのなかにネタ有りの観鈴、 
ネタのなかに萌え“も”有りな岩切。ペースは比較的マターリながら、試合内容は薄くない。 

 そして、R87-382のほのぼのしんみり観鈴SSを皮切りに文章系支援の投下がスタート。 
岩切サイドからは水戰試挑躰バージョン人魚姫SSが投下された。 
 ネタ職人に愛される誰彼陣営だが、支援の絶対数では画像の途切れない観鈴サイドがやはり強い。 

 午前二時を過ぎたあたりから、会場は雑談を交えたマターリムードに移行する。画像と投票がパラパラと 
投下されるなか、もともと支持層の多い観鈴が着実に票を重ねていった。 
 そして夜が明けてからも、試合は観鈴ムードのまま進行した。早朝から昼にかけて観鈴SSが多く貼ら 
れている。泣きはもちろんだが、食べ物が関わるSSが目立つのは観鈴らしい。 
 対抗するようにいわきりスレ690氏による料理SSが投下されるが、流れを止めるには至らない。 

 そのまま日中ののんびりペースを経て、午後から夕方にかけては文章系支援が活発化した。R87-720の 
お盆SS、R87-777から続けて母乳SSとエンディング補完SSと、岩切支援が連続で投下されると、 
それに応えるように観鈴サイドでは稀なエロSSが撃ち込まれる。その後はしばらくの間、文章支援を 
両サイドが張り合うように投下。それまで投票コメントばかりだった展開がウソのように、泣き、ほのぼの、 
ギャグの文章支援フィーバー状態となった。 

 そして気付けば終盤。支援ではひけをとらない岩切だが、得票状況ではやはり観鈴のペースは崩れない。 
支援画像の数こそ観鈴が大きく上回っているが、それ以上に固定ファンの差が大きいのだろう。 
 R87-857で「ゴール」連呼の絶叫ネタが音声ファイルでアップされ、「誰かやるんじゃないかと思った」と 
言われつつもしっかりと笑いを取る。そうしている間にも、観鈴サイドは画像を撃ち続け、岩切サイドからは 
水中型支援者氏がバラエティに富んだSSを展開し、試合はラストへ向けて加速していく。 
 そのまま新スレへ移行。終了三十分を切ってからさらに数本のSSが投下され、両サイド一歩も退かずに 
フィナーレを迎えた。 

 最終的に、281-115のスコアでゲームセット。 
 大作を背負うメインヒロインの貫禄を見せて、神尾観鈴が準決勝に駒を進めた。 
 結果を見れば固い支持基盤を持つ観鈴が、序盤以降リードを広げ続けて逃げ切る形になった。 


<二回戦・Cブロック第1試合  ◎○ 神尾観鈴 vs 注  岩切花枝  分析>

 終わってみればダブルスコアの票差とは言え、巨大な支持基盤を持つAIRのメインヒロインと、葉鍵板の評価は 
“どんぞこ”とも言える誰彼の、さらに敵役ヒロインの試合であることを考えると、単純に圧勝といってしまうのも芸が 
ない。むしろ、完全なワンサイドゲームもあり得るという下馬評をくつがえす好ゲームだった。 

 岩切は得票数こそ及ばなかったものの、ネタ師による精鋭の支援が光っていた。 
 そもそも岩切は入場からして、ダメな親(超シナリオ)を振り切って立ち上がるというメタ的シチュである。しかし 
逆に考えれば、元のシナリオに守るべき領域がないため、支援者のアイデア次第で原型がなくなるほどいじり倒す 
ことも可能ということでもある。叩き尽くされた感のある超シナリオとはいえ、ネタ好きな投票者の多いこのトーナメ 
ントでは必ずしもマイナスではないということだろう。 
 格上の相手に健闘した岩切陣営の職人達に拍手を送りたい。 

 勝利した観鈴だが、最大の勝因はやはり作品(およびシナリオ)自体の高評価だろう。勝てる試合をきっちり 
ものにしたという印象が強い。最初から観鈴への投票を決めていた投票者も多かったように思えた。 
 今後の試合、もともと地力の高い観鈴陣営は、外部の浮動票へのアピールが課題になるだろう。リング穴joe氏が 
「葉鍵の幕の内」と評したように、観鈴は一回戦に続いて今回も白熱した面白い試合を見せてくれた。しかし、どんな 
相手とでも好勝負になってしまうというのは、それだけ危うさを抱えているということでもある。 
 観鈴ちん支持層が熱い支援をして、同じく観鈴ちん支持層が熱く盛り上がる。その結束は大きな強みだが、同時に 
AIRに関心の薄い浮動票を取り込むことができれば鬼に金棒…いや、翼人に翼になるだろう。 
 勝ち進むにつれて相手が強くなっていくトーナメント戦。地力はあって当たり前という戦いが増えてくるはずだ。 
しかも次の相手は結束力とSS弾幕の十字砲火で知られるONE陣営の里村茜である。ぜひ地力プラスαを得て、 
次の準決勝、また残る晴子の試合でも存分に萌えをふるってもらいたい。 

gnuplot氏作成グラフ


観鈴281−花枝115で観鈴の勝利!!