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月宮あゆ vs 塚本千紗
勝手に改説氏による観戦記
<一回戦・Fブロック第4試合  ○△ 月宮あゆ vs △  塚本千紗 観戦記>

 Kanonより月宮あゆ。こみパより塚本千紗。 
 激戦が予想され、実際に激戦が多いFブロックの中でも、この一戦に興味を引かれる者 
は多かったのではないだろうか。 
 何しろ月宮あゆと言えば、KanonどころかKeyブランドそのものの代表者的なキャラだ。 
例え萌えキャラが他にいても、鍵っ子である限りはその存在を何らかの形で意識せざるを 
得まいし、葉陣営もまた彼女を無視は出来まい。キャラの格と言う視点から評価すれば、 
あゆはほぼ間違いなく最高レベルに位置する。 
 一方の塚本千紗は、立場的にはこみパのヒロインの一人。貧乏だったり猫だったりと、 
色々と萌えポイントを持っているのだが、知名度と言うか周囲への影響力ではどうしても 
あゆに劣る。キャラの個性際立つこみパの中では地味っぽいのもマイナスか。 
 ただし、葉鍵内でのこみパ勢力の動きは精力的な一方、あゆスレは比較的静か。地の利 
という方面では千紗に一日の長有り、といった所。 
 属性がかぶる所も多いこの二人、果たしてどんな萌えを見せてくれるだろうか。 

 試合開始前に魚の鮎の画像が複数登場。お返しとばかりに猫缶の画像も貼られ、会場に 
和やかな笑いが満ちる。笑って済んで荒れなかったあたりに好勝負の予感。 
 開幕早々、知名度に勝るあゆがダッシュをかける……と思ったら千紗も負けていない。 
キャラ萌え直球の投票はもちろんの事、清貧萌え、こみパ組の支援に加え、リアンや楓で 
涙を呑んだ猫スキーの票、更には印刷業界関係者の同情票(笑)と、妙に広範囲からの支持 
を得た千紗、その合計得票数はあゆに決して劣らなかった。 
 だが、千紗陣営は投票者のコメントにこそ熱気を感じるものの、応援の物量はどうやら 
あゆ陣営が上。時が経つに連れあゆ陣営が地力を発揮し出す。千紗陣営もにゃ〜にゃ〜と 
言いつつ懸命に票を集める(マジで投票者の大半がそう言っている)が、画像でもSSでも 
後塵を拝するとなるとちょっと厳しい。 

 小細工は不要とばかりに、直球勝負で邁進するあゆ陣営。多彩な画像に加え、「み」氏 
を筆頭に放たれるSS群、これまでの試合では意外に出て来なかったキャラAA等で、場 
の雰囲気をあゆ寄りに持ち込まんとする。その一方、幼少期あゆ画像で炉系の取り込みを 
図る等の抜け目の無さも見せて、次第に差を付け始めた。 
 ただし両陣営とも、会場全体を巻き込むような破壊力ある爆弾は落とせず。なので応援 
が投票者の心を揺さぶる事はあまり無かった模様。固定ファンが多いであろう今回の戦い 
だけに、こういう状況になると票の流れはあまり極端にならない。 
 午前8時の中間集計ではあゆ179vs千紗131。 

 このへんからスレ上には千紗陣営の方が目立つようになる。52-307氏の連作、つかちー 
応援SSなど、こみパキャラとのやりとりを描いた作品が投入され、その魅力をアピール。 
何故かグロ系作品も投下され、しかもそれが妙に好評を博したあたりは興味深い。まるで 
動じる気配が無かったあたり、千紗につく人員は葉鍵板慣れしているのだろうか? 
 一方のあゆ陣営は沈黙している訳ではないが、応援の密度が千紗より薄いし、SSより 
画像の投下が目立つ展開。会社や学校からこっそり見ている人間に、これを開けというの 
は酷な話だ(苦笑)。 
 つまり昼間の応援は千紗陣営の方が勝っていたのだが、それでもあゆは確実に票を積み 
上げる。揺るぎなき萌えを抱く投票者が多いのか、単に応援をじっくり見る余裕が投票者 
に無いだけか。 
 午後になると千紗陣営のSSも在庫が尽きた模様で、雑談スレ……というか千紗スレと 
化す。ID:3Cr7pGyh氏やID:L7qtpqpg氏などが張り付きで板を支配、とにかくどっち見ても 
にゃ〜にゃ〜言ってる状態で、これだけ見たら場の流れは完全に千紗なのだが、あゆへの 
投票が途切れる事はない。想像以上に盤石の基盤をあゆは確保している模様。 

 今日は何故か中間発表が午前8時以降は出ずじまい。 
 そのせいか、あるいは参加者がトーナメントの流儀に慣れたのか、日が暮れて追い込み 
に入っても場はマターリ。両陣営とも終盤は画像投下が主体。意外性は無いが、人が大量 
に押し寄せる中では職人の技も細切れにされたりすぐ流されたりしてしまうので、これが 
ある意味正攻法とも言える。 
 しかし属性が似たキャラ同士の戦いで意外性が無いとなると、単純明快にキャラ同士、 
ゲーム同士の知名度の差が結果に反映してしまう。つまり最後のせめぎ合いもあゆの勝ち。 

 得票数、あゆ450vs千紗318。 
 終始マターリだった割に、気が付けば両者とも大量の票を集めていた。 
 にしても、この試合の中で出版業界関係者の本気で厳しい現状が多数報告されたのは、 
どう評価すればいいのやら(^^; 


<一回戦・Fブロック第4試合  ○△ 月宮あゆ vs △  塚本千紗 分析>

 うぐぅ揺るがず。 
 何だかんだ言って、やはりこのキャラに萌える者は質・量ともに充実していた。確かに 
SSや自作漫画などの応援も素晴らしかったが、応援が全く出なかった時間帯にも安定し 
て得票を重ねているあたり、底知れないものがある。あと、あゆには意外な程アンチ勢力 
が無い事もこの戦いで判明。これは今後に向けて明るい話題であろう。 
 ただし鍵同士の戦いになった時に、今回の支持層がどう動くかには一抹の不安を残す。 
 一方で、あゆに対して正面からぶつかっていった千紗陣営もさすがと言いたい。応援の 
熱意がひしひしと伝わってきた。スレのイニシアチブを握る局面も多く、この試合の中で 
こみパに興味を持ったというコメントも結構あり、こみパ及び千紗の魅力を伝える事には 
成功したと言えよう。残念ながらあゆの壁を越える事は出来なかったが、300を越える票 
を獲得した事には胸を張っていい。 

 一方、この試合は他の参加者・陣営に示唆するものも大きいように思う。 
 グラフを見る限り、両者の差はあまり無い。だが、応援の力で千紗がこの差を逆転する 
事が出来たか? と問われると、それはかなり困難と思われる。実際、千紗陣営がいくら 
頑張ってもあゆへの投票は途切れず、あゆから千紗に流れる者もあまりいなかった。逆に 
千紗からあゆに流れる者もあまりいなかったが。 
 この試合は一部の応援が突出して評価される事もなく、職人芸が賞賛される側面もなく、 
荒れる事もなく……つまり偶発的な票の流れがほとんど発生する事無く終結した。 
 それを踏まえた上で、あえて言う。 
 恐らく、これがキャラ格差と呼ばれるものなのだろう。 

 もちろん、いわゆるキャラ格差はあくまでも一次作品上での評価である。 
 一方、試合の投票者は当然ながらその上に二次創作の魅力をプラスした上で決断を下す。 
この二次創作部分で萌えを競い合うのが本トーナメントの趣旨と言える。 
 だいたい、一次創作部分だけで投票するのなら128人も出す必要は無いのだし。 
 ただ、みさおや吉井のようなマイナー系ならまだしも、今回のようにメジャー級の戦い 
になると絶対的な支援物量が多いので、職人芸も印象が薄れやすい。そうなると、最終的 
にはキャラ格差がそのまま結果に反映する可能性が高い。 
 ちょうど今回の戦いのように、だ。 
 この壁を越えるのは容易ではない。少なくとも、従来通りのSSや画像による支援では 
限界があるらしい、という事はこの試合で示された。 
 二回戦以降はこの水準の試合が立て続けに発生する事になる。その時に応援のスタイル 
がどのように変化しているか、興味深い課題と言えよう。 

 ともあれ鍵陣営の巨星、あゆは二回戦に進出。柏木初音と激突する。またもあちこちで 
属性がかぶる戦いだが、差異も少なくない。そこをどう利用するか、あるいはされるか。 
 固定ファンの熱烈ぶりは初音、絶対数はあゆといった所。 
 お互い簡単には揺るがない支持層を持つだけに、浮動票の取り込みと同時に、己の萌え 
を他者に理解させ共感させ、引き込む手腕が問われる事になるだろう。 
 願わくば、思わず画面に見入ってしまうような素晴らしい萌えを見せて欲しい。そして 
正々堂々たる試合を。

gnuplot氏作成グラフ


あゆ450−千紗318であゆの勝利!!