戻る

三井寺月代 vs 砧夕霧
勝手に改説氏による観戦記
<二回戦・Hブロック第1試合     三井寺月代 vs    砧夕霧  観戦記>

 ……ある意味、これほど注目を集めた試合も珍しいだろう。 
 誰彼同士の潰しあい、という意味では全然無い。投げかけられたのは、萌えとは何か、 
愛とは何かという、トーナメントの本質に関る深遠な問題である(……爆笑)。 
 三井寺月代。実は葉鍵板どころかギャルゲ界全体を通しても希有な「日焼け肌」属性を 
持つ、密かにチャレンジャーなヒロインである。天真爛漫元気印の彼女は、仮にも主役級 
と言う事もあり、本来ならもっと注目されていいはずだった。 
 しかし、その前に立ちはだかるのは一回戦で恐るべきネタパワーを見せた砧夕霧。萌え 
というイメージからは程遠い、しかしどんな形であれ「愛されてる」のは間違いない、と 
いう、ストイックな参加者をゲシュタルト崩壊に追い込みそうな逸材だ。 
 葉鍵板ならではの味を出しまくる夕霧……つーかむしろ凸……に対して、まともな萌え 
属性の月代はどう戦うのか。 

 試合開始前に両者のオフィシャル画像(両者入浴シーン)が貼られる。 
 と、月代のナイチチっぷりに反応する者多数。直前の試合が上月澪vs美坂栞という炉系 
対決だった為にツルペタスキーが多かったのか、意外な程にその反響は大きく、一時的に 
スレの主導権を握りかけた。 
 しかし、凸vs貧乳のネタ対決になるかと思われたのも束の間。 
 ゴング前のR106-845から凸陣営が奇面フラッシュAAで奇襲攻撃。そのまま次々とネタ絵 
を繰り出して一気に流れを取り戻し、なし崩しに試合になだれ込んでのけた。 
 0時2分、891からの凸入場はAAにて行われるが……他のキャラでこれを貼ったらほぼ 
確実に荒らし認定だろう。それを支援者が率先して実行する所が夕霧陣営の恐い所。 
 絵を見て月代に入れる者も出るが、萌えを根拠にした投票がはっきり言って浮いている 
のは一体どういう事か。 

 かくして試合会場はお祭り状態と化す。 
 次々に投下される凸のAA支援。元ネタが格好良かろうが不気味だろうが、頭が凸になる 
と瞬時にお笑い系に変化するから不思議である。 
 0時半にスレ移動してR107になっても傾向に変化無し。凸AAがスレを埋め尽くす中で、 
18で凸システムFLASH、47で一回戦既出のインパクト特大級の支援画像を投下し、もはや 
夕霧陣営の爆走は止まらない。 
 月代側の支援は、元254氏が画像をR107-98で出した程度。この支援自体は強力だったが、 
元254氏は60で夕霧支援も実施しているし、そもそも爆弾の絶対量が違うし、それ以前に 
やっぱりネタ系支援だった(笑)から、場の雰囲気は変えようが無かった。 
 それにしても、ネタだらけとは言え深夜に支援を多数投下する夕霧陣営は、実は非常に 
熱い。更に、どんなネタも許される分チャレンジャー精神が刺激されるのか、R107-111で 
普段はAA使いのチェき氏が珍しく自作画像……これまた大爆笑もの……を投下している。 
 で、この時間帯を一言で表すなら、R107-100の名無しさんのコメントが最適だろう。 
「もう駄目だ。笑い死ぬ」 
 まさしく狂乱の宴であった。 

 それ以降も夕霧の髪を別キャラの物とすげ替えたり、196で凸トラAAが出現したりして 
試合が進んでいくが……序盤戦の熱気が収まると「萌えとは何か?」を考える者達がスレ 
に目立ち始める。 
 確かに夕霧は大爆笑だが、それは果たしてこのトーナメントにおいて是なのか? 
 と言う所でふと振り返ると、お祭りの中でも何気なく月代はかなりの票を獲得していた。 
支援は目立たず、画像もオフィシャル+αぐらいしか無い状態だが、それでも萌えという 
側面では夕霧を上回ると考える者が結構多かった模様。 
 もっとも凸陣営も、票を稼ぐために支援をしているとはちょっと言い難い感じ。何しろ 
自分たちのやってる事が一部に批判されても仕方ないと考えてる節が、スレの書き込みの 
中からも伺える。では一体、彼らは何を求めて夕霧支援をしているのか? 
 ……言葉で説明するのは難しいが、スレを見ればすぐに分かりそうではある(笑)。 

 昼間になると凸陣営のAAもネタ切れを起こしてスレはマターリ、でもチェき氏はまたも 
ネタ画像を投下したりする。 
 時が経つに連れて、笑いに徹した熱すぎる支援に負けて夕霧に票を投じる者と、ネタは 
もう沢山だと月代に投票する者がスレ上で微妙なバランスを保つように。アンチ凸票の件 
で議論が交わされたりしたが、荒れなかったのは幸いと言うべきか。 
 流石にネタ一辺倒はもうお腹一杯、という雰囲気が出て来た所でR107-294、他力本願寺 
氏が正統派萌え的支援の月代画像を一斉投下。これを待ちかねていたかの如く月代に投票 
する者が次々と現れ、試合開始後16時間半にしてやっと萌えをまともに語れる状況に。 
 これ以降の試合会場は、他の試合とあまり変わらぬ展開となる。314と329でMOONキャラ 
友情出演の夕霧SSが出て来て、398からは朝まで生月代氏が月代萌えを熱く語り……ま、 
それでも凸プレス板などという謎のネタが出て来たりもするが。 
 投票コメントも支援に負けたvsやはりこっちが萌える、という、それだけ見たらマトモ 
な物に変化してきた。投票者を負かした「支援」の内容は、もはや語るまい(笑)。 

 最終的には意外な程の接戦になったが、やはり序盤の勢いの差と、支援の絶対量の差が 
響いたか。 
 123vs104で砧夕霧が三井寺月代を撃破。下克上を成し遂げた。 


<二回戦・Hブロック第1試合     三井寺月代 vs    砧夕霧  分析>

 無理を承知であえて例えるならば、 
「エクストリームに走った葵を苦々しい思いで見つめる坂下」 
 のような心境を抱いた者も結構いるのではないだろうか。 
 ネタで勝負する事は是か非か。 
 先に結論を言えば、これに答えは出ない。参加者各位のストライクゾーンの問題としか 
言いようがない。 
 はっきりしてるのは、この試合を制したのは夕霧だという事。そしてその勝因は紛れも 
なくネタだったという事だ。この事実をどう受け止め、己の萌えの矜持にかけてどう対応 
するか、それは各自の判断に任せよう。 
 ただし一般傾向として、人気者はネタにされるものだ。 
 偽善者と呼ばれたりエロイン認定されたり、吐血したり泡立ったり諸田真にされたり。 
こういうのは、それだけピックアップすると「なんじゃこりゃ」だが、キャラ全体を見る 
とそれなりにキャラの魅力を表現しているように思える。 
 要するに、ネタそのものに罪はない。それだけは明記しておきたい。 

 それにしても凸陣営、神の領域に達したとまで言われたキャラスレを持つ実績はやはり 
半端ではなかった。新作AA及び既出ではない画像がここまで連射されるパワーには脱帽。 
徹底的に凸で遊び倒す姿勢にはある種の敬意を抱いてしまう、と書くと「お前の以下略」 
と返されるんだろうな、やっぱ。 
 イロモノが嫌悪感を正面突破するパワーを持てば、なまじ洗練された物より印象に残る。 
それを地でいった感じであった。 
 一方の月代は、アンチネタ勢力の取り込みうんぬん以前に、やはり支援の弾幕の薄さが 
痛かったと言わざるを得ない。終盤戦の得票では互角だっただけに、正統派の萌えを印象 
付けられる支援を序盤から得られていれば……という所である。 
 もっとも、キャラスレも無い、支援組織も恐らく無い月代。個人単位の月代萌えを支援 
に踏み切らせたのは凸のネタ攻勢だったのではないか、という気もしなくもない。結果と 
して、意外に画像がある事、月代萌えが確かに存在する事が明らかにされたわけで、月代 
にとってもこの試合は決して無駄ではなかっただろう。 

 さて、この試合は一見ネタが萌えを押さえ込んだように見えるが、試合の中で多発した 
投票コメントに「支援はやっぱ凸が上だし」というのがあった事は興味深い。 
 実際、印象に残る月代支援は片手で数え切れそうな程度だった。つまり今回の夕霧票の 
中には、ネタ祭りに狂喜乱舞して飛び込んだ者ばかりでなく、単純に支援の充実度で投票 
を決断した者も結構いた、という事だ。 
 また、夕刻になってまとまった月代支援が出ると同時に「やっと支援が出た」と月代に 
投票する者が結構いた事も考えあわせると、相手に十分な支援が出れば凸の勢いは止まる、 
という可能性も暗示させる。 
 加えて言えば、似たようなネタは繰り返されると笑えなくなる。 
 それに対して夕霧陣営はどう動くのだろうか。更なるネタワールドの深淵を目指すのか、 
少数ながら確実に存在する純粋な夕霧萌えがいきなり前面に出てくるか。 

 夕霧の次の相手はこみパの猪名川由宇である。 
 知名度その他を総合した地力ではかなりの差がある上に、ネタに対する対応力も高い。 
 これまで二試合は基本的にまじめ系が相手だった為に夕霧のネタ攻撃は効果的だったが、 
次はそう簡単にいかないだろう。 
 ……だからといって普通の支援が主体になったら凸として面白くない、と思ってしまう 
のは、私だけではないと思うが(笑)。

gnuplot氏作成グラフ


月代104−凸123で凸の勝利!!