１ヶ月以上にも渡ったトーナメント二回戦も最後の試合である。舞台に勝ち上がってき 
たのは、ＭＯＯＮより最後の頼み綱・天沢未夜子、東鳩よりブロック優勝をも狙う近代科 
学の傑作・セリオ。本トーナメントで知名度を高めたＭＯＯＮではあるが、主戦の郁未が 
敗退して今や風前の灯火になってしまった。郁未の母親である未夜子は完全な脇役で勝ち 
進むにはあまりに弱い。しかしＭＯＯＮの導入に重要な役割を果たす彼女の活躍次第で、 
作品への新規需要を生むことであろう。これはファンの裾野を広げるチャンス、ＭＯＯＮ 
陣営も応援に気合いが入るところだ。激戦の末強敵神奈を下したセリオにとって、今試合 
は楽な方かもしれない。しかしここで手を抜かないことが次の試合で大切になってくる。 
萌えにかけて全力を出し切っていきたいところだろう。 

　入場ＳＳは未夜子陣営が先手を決める。弱小な基盤とはいえＭＯＯＮ陣営の支援の抜か 
りなさは毎度感心させられる。試合開始４分後にセリオの入場ＳＳ。そして多少の遅れな 
ぞ吹き飛ばすかのように、画像空爆が敢行される。この導入の戦いぶり、さすがは東鳩の 
人気キャラだ。セリオペースの中、ＭＯＯＮ陣営はふじい00氏がゲーム本編の天沢母娘エ 
ピソードを書き込んで何とか興味を引きにかかる。しかしその支援もスレ移行後の六＠氏 
による力作ＳＳ(動画付き)にて相殺。その後もＭＯＯＮキャラ総出演のＳＳ｢天沢家達の 
人々｣を投下したりふじい00氏も支援を継続するが、セリオ陣営による豊富な画像支援爆 
撃でなかなか効力を見出せない。03:00の時点で107対20と早くもセリオが勝勢である。 

　画像支援が一段落したセリオ陣営は深夜に入ると一転してＳＳ攻勢に出る。ＮＩＣ氏の 
ＳＳ｢幸せな記憶｣、名無し坊氏のＳＳ｢お出かけセリオ｣、石氏のＳＳ｢Smile for me｣、琉 
一氏のＳＳ｢笑顔と、祝福を――｣など短時間に集中投下されスレはセリオ祭り状態となる。 
画像を大量に投下して制空し、その後力作のＳＳで切り込むという作戦パターンは、過去 
の戦いにおいても実力者のみが用いることのできた王道戦法である。実現せしめたセリオ 
陣営に驚嘆もするが、何より相手を問わず思いっきりぶつかる姿勢には好感が持てるもの 
だ。さて明らかな劣勢にあるＭＯＯＮ陣営ではあるが、もとより勝負は度外視の覚悟だっ 
たようで、作品の名を高めることに最後まで全力を注ぐ。Ｒ109-241氏は未夜子ＳＳ｢お母 
さんの隠し味｣を投下。ふじい00氏は再びゲーム本編より母娘エピソードを抜粋し切なめ 
の母娘対面ＳＳや主要キャラによるコメディ系ＳＳもまた投下。ありそ氏は未夜子と少年 
を絡めた少し暗めのＳＳで支援。非常に熱い応援の連続で、18:00の時点で170対33と票こ 
そ稼げなかったものの、観戦者の気持ちを大きく揺さぶったことだろう。 

　終盤に入ってもセリオ陣営は活況。名無し坊氏の｢お出かけセリオ｣続編ＳＳを機軸とし 
て、画像もタイミング良く打ち込み萌えを喚起する。特に流氏の画像に対する反応が良い。 
ＭＯＯＮ陣営もあのね名無しさんなの氏、ふじい00氏、ありそ氏がＳＳで奮闘。両陣営と 
も最後まで飽きさせない戦いを見せてくれた。最終結果は274対52でセリオの勝ち。セリ 
オ陣営にとっては試合内容も評価できる見事な勝利であろう。負けた未夜子陣営は入場Ｓ 
Ｓと同様退場ＳＳもびしっと決めて有終の美で戦いを締めくくった。 

　とにかくセリオの強さには見ていて気持ちがいいものである。その強さの秘密は絶対的 
な固定票の存在であろう。普通の固定票と違い何が絶対的かといえば、浮気な投票などし 
ないセリオだけの為の純然たる票である。根っからの支持者を持っていれば対戦相手に関 
係無く票を見込めるし、何よりこういう人たちが良質な画像を提供してくれて場を盛り上 
げてくれる。勝ち上がるにつれて対戦相手も強力になってくるトーナメントにおいては、 
こういうファンの存在は何とも頼もしいことであろう。おまけに今日の戦いで陣営の団結 
も深まったようである。次の対戦相手は美坂香里となかなか手強いが、１回戦での対神奈 
戦や今試合での戦いぶりとそこから得たものを加味すれば不安材料は少ないだろう。 

　今日の試合で頑張っていたのが深夜と終盤でＳＳを投下し続けた名無し坊氏である。長 
編ものであったが、上手く時間を区切って続きを楽しみにさせてくれた。長時間スレに張 
り付いて支援をするのは大変なもので、それでも気合いを見せた名無し坊氏に拍手を送り 
たい。また、六＠氏のＳＳ｢おじいさんのセリオ｣も大変好評であった。一回戦でも見せて 
くれたがこういう手の込んだ支援は非常に面白いものである。三回戦でも是非続きを作っ 
てもらいたい。 

　敗れた未夜子陣営、といってもそんなに悔しくはないであろう。もともと苦しい勝負で 
あったし、それでも応援は満足のいくものができたからだ。画像がほぼ皆無という悪条件 
下、ＳＳ支援に集中してセリオに埋没されることなくＭＯＯＮの宣伝が出来たのは勝利に 
等しい価値がある。陣営の牽引役となったふじい00氏には特に脱帽の思いだ。ＭＯＯＮ勢 
はこれにて全滅となってしまった。しかしこのトーナメントでの活躍で郁未、名倉姉妹、 
晴香、葉子、そして高槻と今でも印象に残っている。独特のエロＳＳ・画像で堪能もさせ 
てもらったし、ルミラ対晴香、はるか対葉子と名勝負も多かった。かつては旧作であり鍵 
にしては異端の陵辱含みの内容で日陰者暮らしを余儀なくされていた状況から、新たに作 
品に触れる人を掘り起こし作品スレも復興することができた。今後は是非この流れを活か 
して、作品の普及と萌えそしてエロをネタに積極的な活動を続けてもらいたいものである。 
最後に、ＭＯＯＮファンの皆さんお疲れさま、そしてトーナメントを盛り上げてくれてど 
うもありがとう。