最萌トーナメント 入場SS集(準々決勝)

306 :リング穴Joe :02/02/24 23:30 ID:mO4C1hFZ
ごらん下さいっ!!!
葉鍵最萌のブロック予選を勝ち抜いた
葉鍵最萌の少女達です!!!
いずれ劣らぬ曲者揃いッ!!
誰が優勝しても納得の顔ぶれですッ!!

Aブロック優勝者ッッッ!
 舞、美凪、詠美、そして水瀬名雪という誰が優勝しても
 おかしくないメインヒロインたちを堂々撃破ッッ!
 真っ赤な髪は伊達じゃないッ!唯一の正ヒロイン!!
 東鳩より 神岸あかり!!

Bブロック優勝者ッッッ!
 芹香、七瀬、はるか、そして高瀬瑞希ッ!
 こちらもそうそうたるメインヒロインたちに勝利ッッ!
 メインヒロインたちを越えたサブヒロインッ!!
 Kanonより 倉田佐祐理!!

本選準々決勝第1試合!
 「敗北を知りたいっっ!!」
   神岸あかり(東鳩) VS 倉田佐祐理(Kanon)


Cブロック優勝者ッッッ!
 鍵勢の最精鋭らによる壮烈な潰しあい!
 そして最後は同門、偉大なる里村茜を越えて!
 鮮烈なる食欲ッ!芳醇たる萌えッ!一見お嬢様!!
 ONEより 川名みさき!!

Dブロック優勝者ッッッ!
 繭vs瑞佳、あさひvs郁美、そして綾香vs琴音!!
 血で血を洗う同門決戦と制し、駆け上ったのはっ!
 飽くなき美貌!完璧超人にして格闘女王!!
 東鳩より 来栖川綾香!!

本選準々決勝第2試合!
 「俺の屍を越えてゆけっ!!」
   川名みさき(ONE) VS 来栖川綾香(東鳩)


Eブロック優勝者ッッッ!
 驚異の物量戦、連戦!裸Yシャツ、ロリ巨乳萌えのデパート!
 そして職人芸の粋ッに打ち勝った、力と技のWハリケーン!!
 ライバルヒロインは一番人気!ツインテールに負けはないっ!!
 ホワイトアルバムより 緒方理奈!!

Fブロック優勝者ッッッ!
 脇キャラ、現役女子高生、正ヒロイン、作品一番人気!
 着実に巨大化していく対戦相手を悉く粉砕!!
 母よ、貴女は強かった!萌えるお母さんっ!!
 Kanonより 水瀬秋子!!

本選準々決勝第3試合!
 「技巧派!最萌武芸帖!!」
   緒方理奈(WA) VS 水瀬秋子(Kanon)


Gブロック優勝者ッッッ!
 平均バスト最小を誇るこのブロックの優勝者はこの人以外考えられないっ!
 その!あの!貧乳界の大御所!貧乳クィーン、あの人しかいないッッ!!
 ギャグもシリアスも涙もラブラブもこなせる恐るべきヒロイン!!
 痕より 柏木千鶴!!

Hブロック優勝者ッッッ!
 神秘と不思議のこのブロックを制したのは超科学の力!
 萌えと科学は両立する!いや科学に裏打ちされた萌えだッッ!!
 来栖川重工最高傑作!未来に歩む超萌えキャラ!!
 東鳩より HMX−13セリオ!!

本選準々決勝第4試合!
 「DNAvsメカニック!!」
   柏木千鶴(痕) VS セリオ(東鳩)


以上8名ッッッ!!
葉鍵最萌の揃い踏みだァァァァァァァッッ!!!


434 :リング穴Joe :02/02/24 23:50 ID:mO4C1hFZ
思い起こせば四が月前・・・
神岸あかり選手VS川澄舞選手で始まった
葉鍵トーナメントもついに本選準々決勝!!
本選準々決勝の開始の火蓋を切るのは
第一戦で舞を打ち破った神岸あかり!!
その舞の親友でお嬢様の倉田佐祐理!!
それぞれが自らのブロックを勝ち上がり、
優勝者として、決戦に入る!!
共にメインヒロインを喰っちまった者同士!
親友コンビを撃破して正ヒロインの名にかけて!
親友の仇討ちと最萌ヒロインの称号を手にして!
セミファイナル進出は果たしてどっちだ!!

本選準々決勝第1試合
 川澄舞遺恨試合!
  最萌正ヒロイン  神岸あかり(東鳩) VS
  最萌サブヒロイン 倉田佐祐理(Kanon)
趣向こらした選手入場が楽しみだ!試合開始まであと10分!!

442 :あかり入場SS :02/02/24 23:52 ID:DmFhXDTk
「どうだった」
「なんか怖い雰囲気だったです〜」
浩之が控え室に入ってきたマルチに聞くと、マルチは試合会場の様子を
伝えた。思い出して少し怯えてるようだ。
「確かにその通りね。このあたしの志保ちゃん情報によると…」
「お前の情報はあてにならんからいい」
控え室であかりとしゃべっていた志保が話そうとすると、浩之がそれを遮った。
「うるさいわね!あんたじゃなくてあかりのためなの!あたしもさっき会場の
方を見てきたけど、なんか『あかりはいんちきで勝ち上がってきた』みたいな
こと言うやつが多くてほとんどアウェーに近い感じだったわね」
「どうしてそんなことに…」
「あかりを応援してる人たちの話によると、あかりの最近の戦いに疑問を持つ
人が多いみたい。それで『不正で勝ちあがってきたやつは許せん』ていう話が
持ち上がってきて、今のような状況になったみたい」
志保の話を聞いて、浩之の顔が思わず歪む。
「ひでえ話だ。別にあかりがなんかしたってわけじゃねえのに…」
「あたしもそう思うけど、あかりの試合が荒れる傾向にあるのは事実だし…」
「しかしそこまで来るとあかりに危険が及ぶかもしれんな…あかり、どうする?
お前がよければ運営委員会まで言って棄権の申請を…」
浩之がそこまで言うと、今までうつむいて話を聞いていたあかりが顔をあげて、
「それはだめだよ、浩之ちゃん」
とはっきりとした視線を向けて言った。
「ここでわたしが逃げたら、今まで戦ってきた人たちやわたしを応援してくれた
人たちに顔向けできないよ」
「そうだな… すまん、あかり。なんか俺の方が弱気になってたみたいだ」
「ふふっ。でも浩之ちゃん、心配してくれてありがとう」
そういってあかりは笑顔を浮かべたが、不安の色は隠せない。
重い空気が控え室を包む。

そのとき控え室のドアが開いて、
「あかり〜 元気〜?」
暗い雰囲気にそぐわない明るい声が響いた。
「お、お母さん?」
「おばさん…」
入ってきたひかりを見て驚く二人。
「あらあらどうしたの。みんなしてそんな暗い顔で〜 試合前なんだから
もっと明るくいきましょ!」
「実は…」
浩之はさっきまでの経緯をひかりに説明した。
「あら、そうだったの。それならだいじょうぶよ」
「だいじょうぶつっても…」
あっけらかんとしたひかりに戸惑う浩之。
「確かに外の雰囲気は厳しかったけどそれがどうしたの。あかり、あなたには
助けてくれる人もたくさんいるじゃない」
「お母さん…」
いつもは見せない真剣な顔で話すひかり。
「ここに来る前にあかりの応援をするっていう人たちにあってね〜 その人たちと
話してたの。 そしたら『自分達は何があってもあかりさんを応援します』って
言ってくれたわ。だからわたしも『うちの娘をどうかよろしくお願いします』って
頼んじゃった」
「恥ずかしいよ、お母さん…」
それでもひかりと話すうちにあかりの緊張は和らいでいった。
「それにあかりには浩之君、志保ちゃんやマルチちゃんとかのたくさんの友達が
いるじゃない。だいじょうぶ。なんたってあなたはわたしの娘なんだから」
「ありがとう、お母さん。わたしがんばるね」
そう答えるあかりの瞳はどことなく潤んでいた。
「そろそろ時間だな… あかり、いくぞ」
「うん。じゃあお母さん、行ってくるね」
そしてあかりたちは控え室を出て試合会場へ向かう

「こんにちは、神岸さん」
「こんにちは、あかりさん」
試合会場への入り口の手前まできたところで、綾香とセリカが待っていた。
「こんにちは、綾香さん、セリオさん。ところでどうしてこんな所で待ってたの?」
「わたし達も準々決勝に出るので、同じ出場者として声をかけようと思いまして…」
「そういうこと。お互いに全力を尽くしましょう。でも次であたるときは容赦しないわよ」
「おいおい… お前まだ準々決勝も終わってないのに、もう次の話してていいのか?」
浩之が少し呆れたように話すと、
「あたしはもし負けたら…とか考えないの。すべての勝負に勝つつもりだから」
と自信にあふれた言葉を綾香は返した。他の者が言えば思い上がりに聞こえる台詞も、
エクストリームの女王たる彼女が言えば自然なものとなる。
「2人ともありがとう。一緒にがんばろうね」
そういうとあかりは、セコンドの志保とともに試合会場に向かい歩き出す。
もうあかりも落ち着いたかな。そう思いかけて違和感を覚えた浩之はあかりに視線を
向けた。その視界には両手を硬く握り締めたあかりの姿があった。やっぱり不安が
残ってるのか。そう感じた浩之は無意識のうちに言葉を発していた。
「志保、今回のセコンドは俺にやらせてくれないか?」
その言葉に誰もが驚いた。
「あんた今までセコンドなんてやったことないんじゃない?どうして急に…」
「今回は状況が状況だからな… 何が起こるかわからん。もしやばいことになったら、
あかりだけでなくお前も巻き添えを食うかもしれん。その点、俺なら最悪あかりだけ
でも無事に逃がしてやれると思う」
志保の質問に対し、もっともらしい理由を述べる浩之だが、あかりは、
「…そしたらお願いしてもいいかな?」
と嬉しそうに尋ねてきた。浩之の考えを見抜いてるかのように。
「…ああ」
その笑顔を見て、浩之は横を向いて照れくさそうに答えた。
「ごめんね、志保。せっかくついてくれてたのに…」
「いいわよ別に… それよりもヒロ?ちゃんとセコンドの仕事しなさいよね!」
しかし言葉とは裏腹に、志保の顔にも安堵の表情が見られた。

「あ〜あ。神岸さんだけいいなあ〜 あたしのときはセコンドついてくれないの?」
「お前は別にいいだろ」
綾香の問いに浩之はそっけなく答える。
「どーしてよ?」
「だってお前の場合相手の方が心配…」
言いかけてただならぬ気配を感じた浩之は、顔を綾香の方に向けた。
「へえ〜 そんなこと思ってたんだ〜 そしたらスパーリングでも頼もうかしら?」
「えっ? そっそれは…」
本能でやばいと判断し断ろうとするが、
「い・い・わ・ね?」
一見笑ってるが目は据わっている綾香の剣幕に、
「はい…」
首を縦に振るしかない浩之だった。
「あとそのあとでセコンドもお願いね。それじゃあ神岸さん、がんばってね〜」
「あかりさん、がんばってください」
ちゃっかりセコンドの約束も取り付けて、綾香とセリオは観客席の方に帰っていった。
それを見送りながら、『明日の俺、生き延びろよ』と願わずにはいられない浩之だった。
「ふふっ」
「なんだよ?」
横で笑っているあかりに、浩之はばつが悪そうに尋ねる。
「やっぱり浩之ちゃんだな〜って思って」
「それって褒めてんのか?けなしてんのか?」
「さあ〜 どっちかな?」
「まあいいや。とにかくここまでここまで来れたのはお前が神岸あかりだったからだ。
だからもっと自信を持ってもいいぞ」
「浩之ちゃん、ありがとう!」

―でもね、みんなや浩之ちゃんが応援してくれるから、わたしはがんばれるんだよ―

神岸あかり、入場―


450 :◇両者競演佐祐理さん入場SS byつきのひと◇ :02/02/24 23:53 ID:rLD21OPx
…佐祐理陣営控え室。
祐一「今さらだが、Bブロック優勝おめでとう! 佐祐理さん」
舞「…おめでとう」
佐祐理「ありがとうございます、祐一さん、舞。…なんか、Bブロックの他のみなさんに申し訳ないです」
祐一「そう思うんだったら今日も頑張るんだ! …にしても今日の対戦相手は、舞を初戦で破った神岸あかりか。何か因縁めいたものを感じるな…」
佐祐理「はぇー…こんなにまで魅力的な舞相手に勝っちゃうような強敵に、佐祐理なんかが相手で勝負になるんでしょうか?」
祐一「大丈夫だって、自分を信じろ。な、舞だってそう思うだろ?」
舞「………」
祐一「おい、そんなにあかり陣営を睨みつけるなよ。このトーナメントでは恨みっこなしだぞ」
舞「犬さん…」
祐一「ぐあ…いくら自分の仇が犬チックだからって、なんてことを――」
佐祐理「違いますよ、祐一さん。本当に犬さんが降りてきてるんです」

…あかり陣営前。
マルチ「はわわ〜、犬さんが吠えてきます〜」
野犬「ガウガウッ!」
浩之「ったく、これからあかりの試合だって時にどうしてこんなのがッ!」
マルチ「あかりさんは逃げてください〜! これから試合の人に怪我させられないです〜」
あかり「でも、でも!」

祐一「あ、ホントだ…。よし、舞! 佐祐理さんの弁当を持って出動せよ!」
佐祐理「もう舞は行っちゃいました」
祐一「なにっ! なんて素早さだ…」

しゅたたたた…。
舞(間に合え…)

野犬「ガウガウッ!」
マルチ「あわわわっ、噛まないでください〜、コードが切れちゃいます!」
浩之「マルチ! 目からビームだ! 膝からミサイルだ!!」
マルチ「そんなもの装備してません〜」
浩之「くそっ、こうなったらこのリング穴Joe氏愛用のマイクスタンドで…!」
あかり「そんな…駄目だよ、浩之ちゃん!」
浩之「あかり! 下がってろって!」
マルチ「そ、そうです! 危険が危ないです〜!」
あかり「だいじょうぶ…犬と気持ちを通じ合わせれば…ね?」
そっと手を差し出すあかり。
野犬「ウ〜…」
ガブッ!
あかり「イタッ…」
浩之「あ、あかりッ!?」
あかり「ほ…ら、ね? 怖くないでしょ?」
野犬「ウ〜…」
あかり「……」
野犬「……」
あかり「ほら、だいじょうぶ…」
野犬「……。クゥ〜ン…(ペロペロ…)」
マルチ「犬さんに自分の手を噛ませて落ち着かせて…って、どこかで見たような光景です…」
浩之「言うな、マルチ! もはやこういうシーンではそれは定番! 人間と獣は、拳と牙で語り合うのだッ!」
マルチ「今日の浩之さん、背中に夕日背負ってます…」

(物陰から)舞「………」

しゅたっ。
佐祐理「おかえり、舞」
祐一「なんとか丸く収まったみたいだな。ご苦労だった、舞」
舞「私は何もしてない…」
祐一「え? でも野犬の吠える声がしなくなったけど――」
舞「佐祐理」
祐一「…俺は無視か」
佐祐理「ふぇ? なあに、舞?」
舞「あかりはいい娘…」
佐祐理「そんなことわざわざ言われなくても分かってるよ?」
舞「でも佐祐理はもっといい娘…」
佐祐理「あははーっ、なんか照れちゃうな。でも、そう言ってもらえると素直に嬉しいかも。…それじゃ、祐一さん、舞。行ってきます」
(倉田佐祐理入場)

※今日は両者とも入場SSが多そうですねー。割り込んでたりしたらゴメン。
そんなわけで、まとめレスとかもつけません。タイトル見て、繋ぎ読みしてください。



847 :Joe代理☆入場アナウンス :02/02/25 23:47 ID:togmZp2O
髪は女の命という!今宵出でたる美少女二人!
長い髪の毛とってもつややか!
一見清楚なお嬢様、だけど油断大敵、食い逃げたい焼き!
一人は名だたる食欲魔人、必要カロリー常人20倍!
もう一人は完璧超人、護るよりも護ってほしい!
つややかなる黒髪の食欲魔人!ONE最萌の人!
ONEクィーン 川名みさき!!
つややかなる黒髪の完璧超人!東鳩最強の人!
格闘女王 来栖川綾香!!
麗しき黒髪女王!王族は最強の証!
同門決戦超えてきた最強最萌の修羅の人!
黒髪で、女王で、修羅で、超萌えで、ある意味化物で・・・
真・女王まであと三つ!!

本選ブロック準々決勝第2試合
 黒髪美人は修羅美人!
  超萌食欲魔人 川名みさき(ONE) VS
  最萌完璧超人 来栖川綾香(東鳩)
趣向こらした選手入場が楽しみだ!試合開始まであと10分!!


874 :詩子さん ◆SHIIko2U :02/02/25 23:56 ID:0WW5xy45
「みさき、時間よ」
 わたしはみさきにそれを告げる。
「うん、ありがとう雪ちゃん」
「みさき、がんばりなさいよ」
 わたしは、少し願を掛けて強くつたえる。
「うん、雪ちゃん、ここまでありがとう」
「なに言ってるのよ、その台詞は勝ってから言ってよね」
「うん、楽しみにしててね」
 それだけを笑顔でわたしに伝え、
 ゆっくりとリングに上がっていった。
 前と比べて、少しだけ強くなった、
 そんな表情とともに。

川名みさき、ここに入場!


877 :綾香入場SS :02/02/25 23:56 ID:RedtjOwO
「あの…失礼します…」
 セリオと姉さん。三人で試合開始を待っていた私の所に来客があったのは、前の
試合が終わって、すぐのことだった。
「神岸さん…」
 そう、そこにいたのは浩之の幼なじみの神岸あかりさん。今日は彼女の試合だった。
「すまねえ、綾香…あかりの奴がどうしても…って言うもんだから」
「え?ううん、別に構わないわ」
 彼女は自分の試合前、酷く落ち込んでいた。試合に出ることを、怖がっていた。
 しかし…
「神岸さん…少し…元気になった?」
「え?あの、どうして?」
「ん?何となく。なんか肩の力が抜けてるっていうか、ずいぶんと雰囲気が軽く
 なったような気がしただけ」
 私がそう言うと、彼女ははっきりと笑顔を見せて頷いた。
「はい。正直試合前は落ち込んでました。けど、試合をして…あんな状況でも
 私を応援してくれる人がたくさんいて…それがとても嬉しかったんです」
「そう…よかったわね。ひょっとして、そのことを私に?」
「はい。来栖川さんに、これから試合をする来栖川さんに、それをお伝えしたくて…
 迷惑…かもしれないけど」
「ううん。そんなこと無いわ。ありがとう。実を言うとね、私もちょっと不安だったの。
 だから、あなたの言葉は何よりの励ましだわ」
「来栖川さんも…ですか?」
「そうよ。あなたと同じよ。神岸さん」
「そうなんだ…あ、そろそろ時間ですね。頑張ってください。来栖川さん」
 彼女の言葉に私は力強く頷くと、試合会場への扉に手をかけた。…と、その前に…
「そうそう、神岸さん、私の事は綾香でいいわ。同い年なんだし」
「あ、はい。じゃあ私の事も…」
「ええ、行ってくるわ。あかり」
「はい!行ってらっしゃい。綾香さん!」
                 来栖川綾香、入場


371 :リング穴Joe :02/02/27 23:50 ID:ET+yRV3Q
主人公の引き立て役と、言われ続けて幾星霜!
されど交えて魅力がアップ!ミックスアップ!!
人気bP!寝取り勝ちもあり!最も驚異のライバル!
ライバルクィーン!ミックス・アッパー 緒方理奈!
何気にいると感じるけれど、いないとやっぱり締まりがつかん!
みんなが集うその場所に、どっしり佇むその風格!
扇の要!ヒロイン集う水瀬サロンの主催者だっ!
名雪ママ!ゴッド・セイブ・ザ・マザー 水瀬秋子!
優勝候補の最右翼、されど曲者揃いの対戦相手!
揉んで揉まれて乳揉みたい!ケレン味たっぷりのオガタリーナが
正ヒロインに作品人気bP、強者を打倒した
亀の甲より年の功、ビックマザー秋子にどう挑むか!?
注目の対戦はもうまもなく!!

本選準々決勝第3試合
 パワフル・テクニシャン!
  最強芸能人 緒方理奈(WA) VS
  達 人 ! 水瀬秋子(Kanon)
趣向こらした選手入場が楽しみだ!試合開始まであと10分!!


378 :オガリナ230 :02/02/27 23:52 ID:BmKaZxoI
 理奈入場 〜想いを、力に変えて

「理奈ちゃん、どうしたんだ?」
 理奈がやっと到着したという連絡を受けて、冬弥は慌てて控え室へとやってきた。
 いつも時間に余裕を持って行動する彼女が、今日はほぼギリギリの状態だった。
「理奈ちゃん? 入るよ?」
 ノックしてみたが返事が無いので、そっと扉を開ける。
 理奈はまだ衣装にも着替えておらず、普段着のままテーブルに突っ伏していた。
どうやら眠っているようだ。
「理奈ちゃん?」
 肩を軽く叩いてみると、理奈はうっすらと瞼を開いた。
「う……ん、あ、とーやくん」
 眠そうに眼をこすりながら身体を起こす。
「どうしたの? 早く着替えてメイクとかしないと」
「うん……わかってる。だから冬弥君、その前に少しだけそこに正座してくれる?」
 畳の間を指差す理奈。冬弥は首をかしげたが、とりあえず言われた通りにした。
「15分だけ借りるね。それでいつもの私に戻るから……」
 と、それだけ言って理奈は冬弥の膝の上に頭をのせて横になった。
「わっ、り、理奈ちゃん!?」
 理奈は、すでに寝息をたてている。
 仕方なく、冬弥はそのまま起こさないようにじっと待った。
 あどけない寝顔。トップアイドルの彼女も今は普通の女の子と変らない。
「ん……」
 そして15分後、本当にきっかり15分で理奈は目を覚ました。
「ありがと、冬弥君。それじゃ支度するから、メイクさんとか呼んでくれる?」
 目覚めた理奈は既に普段の通りで、さっきまでとはまるで別人のようだった。
「理奈ちゃん、いったいどうしたの?」
「ちょっと、今日のためにレッスンしてたら徹夜になっちゃって」

「徹夜!? なんでそんなこと」
 試合は基本的に丸一日行われるのだ。それなのに? 前日徹夜?
「うん……今日はちゃんときめたかったから。私を応援してくれる人達のためにね」
 そう言って微笑む理奈に、冬弥はああ、と悟った。
 緒方理奈とは、こういう女の子なのだ。
「……わかった。じゃあ、皆を呼んでくるよ。急がないとね」
「よろしくね」
 冬弥は控え室を飛び出すと、スタッフの待機する部屋へ急いだ。
 連絡を受けて、スタッフが理奈のもとへ向かう。
 彼らが中に入るのを確認すると、冬弥はそのまま控え室の扉の前で待った。
 やがて、開始時間ギリギリになって、理奈が出てくる。
「お待たせ。さ、いきましょ」
 そう言って手を差し出してきた理奈は、可憐なステージ衣装に身を包んだ
「トップアイドル」としての緒方理奈だった。
「うん、行こう」
 冬弥はその手を取って駆け出した。
 と、通路の先に複数の人影が並んでいるのが見えた。
「あ、みんな!」
「暴れてきィや!!」
「応援していますよ」
「がんばってー♪」
 Eブロックで対戦した智子、南、スフィーが、そして他のEブロック参加者達が、
駆け抜ける理奈に声援を送る。そして。
「理奈さん、ファイト!」
「頑張れよ」
 マナが、はるかが、美咲が、弥生さんが、英二兄が声をかける。

「あ、吉井さん」
「理奈さん、ふ、ふぁいとっ!」
 最後に、ブロック決勝で共に最高のステージを作り上げた吉井が
精一杯の声援を送ってくれた。
 理奈は振り返りながら、手を振ってそれに答える。
「みんな、ありがとう!」
 冬弥は思う。理奈は本当に強い、と。あれだけの人の想いを胸に抱えて、
なお前に進むことが出来るのだから。
 そして通路の出口、ステージから差し込んでくる光の中に、少女が一人立っていた。
「あ……」
 由綺だった。彼女は何も言わず、ただ微笑んでいた。
「……それじゃ冬弥君、行って来るわね」
 理奈が握っていた冬弥の手をそっと離して歩き出す。
 ここからは、彼女一人で行かなければならない。
これは、理奈の舞台なのだから。
 由綺が、手を高くかざした。
 パァン……!
 すれちがいざまに、理奈がその手を叩く。
 ……そのハイタッチだけで、二人には充分だった。

 ざわめきが聞こえる。
 興奮と熱気が伝わってくる。
「よしっ!」
 人々の、あふれんばかりの想いを胸に、理奈は光の中へ飛び出した。

 緒方理奈、決勝トーナメントのステージへ。


388 :無謀さんだよもん :02/02/27 23:55 ID:va5wHhWl
秋子さん入場SS

控え室にて。
祐一「秋子さん、そろそろですよ。ほら、名雪」
名雪「うん。お母さん、私、うまく言えないけど・・・頑張ってね」
秋子「ありがとう、名雪。あなたの分まで頑張ってくるわね」
名雪「うんっ、約束だよ」
祐一「それじゃ、会場に・・・ん?なんか外が騒がしいな・・・って、おわっ!」
突然、控え室のドアが開いて人がなだれこんでくる。
晴子「こにゃにゃちわ〜ん!元気にやっとるか〜?晴子さんが応援に来てやったで〜」
あゆ「こんにちはっ!秋子さん!」
マルチ「はわわーっ、こんにちはです!」
名雪「晴子さんにあゆにマルチちゃん?」
??「あたしらもいるよ」
祐一「梓ちゃんに初音ちゃんも?」
秋子「あらあらみなさん、どうなさったんですか?」
あゆ「ほら、マルチちゃん」
あゆがマルチを促す。このトーナメントのおかげですっかり仲良しになったらしい。
マルチ「は、はい。え、えっと、あの、秋子さん、きょ、今日一日、秋子さんのこと、
その、お・・・『お母さん』って呼んでも、い、いいですか?」
秋子「了承(一秒)」
マルチ「はわわーっ、あゆさんの言った通りほんとに一秒だったです〜!
あっ、あの、ありがとうございます」
梓「あの、あたしらもいいかな?」
秋子「もちろん、かまいませんよ」
にっこりとほほえみながら秋子さんが答える。

名雪「でも、どうして・・・?」
名雪が、当然と言えば当然の疑問を口にする。
マルチ「えと、それは・・・」
梓「あたしたち、『お母さん』ってのをよく知らないんだ」
名雪「あ・・・ごめんなさい」
梓「別に名雪ちゃんが謝ることじゃないさ。うちにも一応千鶴姉さんがいるけど、
亀だし料理は下手だしむn(はっ・・・殺気?)ゴホッ、と、とにかく、母親って感じじゃないからね」
晴子「で、秋子さんなら今日一日くらい、母親代わりになってくれるかもしれへんってことになってん。
母としてFブロックの勝者となったわけやしな。」
秋子「まあ、ありがとうございます。嬉しい言葉ですわ」

と、試合会場からひときわ大きな歓声が上がった。
どうやらリングアナウンスが始まったらしい。

晴子「ほな、そろそろ行こか。秋子さん、プレッシャーかけてすまんけど、あんたFブロック代表であると同時に
母親属性代表でもあるんやから、気合い入れて頑張ってきてや!今日も応援させてもらうで〜」
秋子「はい!まかせておいて下さい!」
そう言ってトン、と胸を軽く叩く仕草が妙に可愛くって萌えたりして・・・

Fブロック代表水瀬秋子、Fブロックの母として、
今、入場です!!



12 :七瀬車(リング穴代理2) ◆NanAsEA. :02/02/28 23:52 ID:B0xcxWQs
来栖川はまたやりましたッ!ダウンロードでなんでもできる!
完璧最強メイドロボ!HMX−13 セリオ!!
ギャグもシリアスも涙もラブラブも何でもできる!
最強にして最凶!最萌オーガ 柏木千鶴!!
伝説の翼人、不可視の者、そして関西芸人と
謎と不思議の者を狩ってきた不思議ハンター、セリオ!
本選最初の相手は、エルクゥの血を引く女性、柏木千鶴だァ!
相手にとって不足はない!セリオ!!
狩るか狩られるか!?狩猟者の血が騒ぐぞ!千鶴!!
ある意味、血が飛ぶ今度の試合!四強最後の戦士はどっち!?
本選準々決勝第4試合
 謎と不思議とメイドと鬼と!
  神秘の貧乳! 柏木千鶴(痕) VS
  超科学の粋! セリオ(東鳩)
趣向こらした選手入場が楽しみだ!試合開始まであと10分!!


871 :頭文字J :02/02/28 23:32 ID:uO+VCmSQ
 セリオ入場SS「星は星から」1

 予感は、あった。
 星星の残滓と、本人は自身を評した。
 滅び去る恒星の爆発による、一瞬の輝きと。
 あかりの敗北を知らされた綾香の、常にない自虐的なその言葉に、どのような想いがこ
められているのか、その時点ではセリオには知る由もなかった。
 ただ、その言葉を聞いたとき、腹部の擬似筋肉が幾度か小刻みに誤作動し、胸部センサ
ーが圧迫されるのを感知した。セリオの語彙の中に、そのような不随意の胸部・腹部筋の
痙攣をどう表現するのかがあった。
 胸騒ぎ。
 だから、予感だけが、あった。

 試合中の綾香は、明らかに精彩を欠いていた。
 簡単なフェイントに引っかかり、見栄えのする大技ばかりを繰り出し、カウンターを当
てられた。派手さはあり、観客は沸いた。が、ファンの熱狂と判定は別物である。何度か
綾香の時間帯はあったものの、それでも試合の要所要所では、相手に攻め込まれ、ポイン
トを奪われていった。
 ゴングが鳴り、即時に計測されたポイントは、461-394。
 川名みさきは強い。強いが。これほど完全に綾香が押さえ込まれるとは、セリオは全く
予想していなかった。


「完敗ね」
 勝者よりも堂々と退場してきた綾香は、控え室に入り崩れこむようにソファに腰をおろ
すや、そういった。
 セリオは、まず乾いたタオルをさしだす。
 腹圧により発汗を抑えていた綾香は、負け惜しみの操体術を解き、噴出してくる汗をタ
オルでひたすら抑えにかかる。
「これまでの試合に比べて、明らかにモチベーションが下がっていました」
「んー。決勝トーナメントにも残ったし、主催者側がいつまでも残っていても、判定にも
つれ込んだらあれこれ言われるしね」
「僭越ですが、技のきれであるとか、コンビネーションも」
「百戦して百勝とは、さすがの私でも無理よ」
「常勝女王と呼ばれる綾香様とは思えない言葉ですね」
「不敗の魔術師に負けっぱなしの常勝皇帝がいるくらいだから、べつにいいんじゃない」
「綾香様」
 三本目のタオルから顔を上げた綾香は、自身を見つめる目を見た。見返してきた。
「何がいいたいのよ、あなたは」
 綾香が放り投げたタオルを難なく受け取って、今度は冷たい水を含ませたタオルを差し
出す。
「綾香様は、あかりさんの敗勢を私が伝えてから、勝利に対する執着がなくなったように
思います」
「私が試合を投げたとでも言いたいの?」


 そうではありませんと、セリオは言う。
 ただひたすら勝ちに行くこれまでの試合運びではなく、観客を喜ばせるだけの見世物と
しての試合をしていたと言う。
 言ってから、セリオは綾香の反論を待った。
 綾香は、何度か唇を動かしかけたが、そのたびにセリオの真摯な瞳につかまって、やが
てまだ汗の浮かぶ両腕を頭の上にあげて、降参といった。
「あかりが持っているというと、ちょっと語弊があるけれど、それが欲しかったのよ」
 だから、トーナメントに参加したと綾香は白状した。
「浩之さんですか」
「そうよ」
 セリオも綾香も、迂遠な遠回りをしない。
「戦って、奪い取られるものですか? 人の想いというものは」
「それがわからないから、恋は盲目というのよ」
 綾香は言って、それから少し恥ずかしくなったのか、セリオから目をそらせた。
「全力は、全力だったのよ。負けるつもりなんかこれっぽちもなかった。でも、相手が強
すぎたわね、今回ばかりは」
「彼女の強さはこれまでデータで示してきたとおりですから」
「しょうがないわ。戦う理由が、私の側になくなってしまったものだから」
 と、綾香は肩をすくめて見せた。米国で育っただけに、その仕草が決まっている。


「あかりはね」
 やや唐突に、綾香は切り出した。
「守るものがあって、完全に守りに入った。だから負けた。私は、奪うものがなくなって、
負けた」
 ふと思い出したように、綾香はソファの上に放り出してあったバッグを手元に引き寄せ
る。
「他の知り合いは、相手が強かったか実力が不足していたのかはわからないけれど、それ
ぞれ理由があって出場して、負けて消えていった」
 綾香は、スポーツバッグのジッパーを大きく開けて、中に手を入れて、少々乱暴に探り
出す。
「さて、ここでセリオに訊くわ。あなたは何のために、このトーナメントに出場して、勝
ち続けているの?」
 セリオの見ている前で、セリオが荷物を詰め込んだバッグを、綾香は相変わらずかき荒
らしながら、問う。
「私は少しでも綾香様のためになればと」
 それは、綾香が依頼したことであった。
 トーナメントは運の要素が大きい。決勝レベルの選手が組み合わせ次第で予選において
も、ばたばたと消えてゆく。だからこそ、情報の多さが勝負を左右する。綾香がセリオに
頼んだのは、EFGH各ブロックの戦力分析である。
 だが、綾香は負けた。
 もうセリオが戦い続ける理由は、現時点ではない。
「では、棄権いたしますか」


 だめよ、と綾香は強い口調で言った。
「しかし、参加する理由がございませんが」
「理由なら、あるわ」
 綾香は、探っていた手を、バッグから引き出した。
 その手に握られている布。どうやらコスチュームのようだと判別したが、入れた覚えは、
セリオにはない。
「これよ」
 綾香は、広げて見せた。
 TEAM TO HEART.
 QUEEN OF QUEENS.
 黒の字に、銀の文字があしらわれた、リングコスチューム。
「綾香様の、ではありませんか」
「ちがうわね。デザインは同じだけれど、サイズはあなたに合わせてあるわ。本当は決勝
で私と戦うとき、セリオに着てもらうつもりだったけれど」
 負けちゃったからね。
 綾香は、軽い口調で言ったが、今になって悔しさがこみ上げてきたのか、目元がわずか
につりあがったのをセリオは見た。
「あなたは、今はただのメイドロボットよ。でも、このコスチュームを着て戦ったら、き
っと周りの人は、さすが来栖川の『人間』だというでしょう。サブヒロインにすぎなくて
も、生き残ったのがセリオだけなら、評価も変わるでしょう。メインヒロインもサブヒロ
インも、かわらない萌えの要素をもっているのだと、世の中に知らしめることができるわ」
 綾香は、見るからに消耗しきった体を無理に持ち上げて、セリオの正面に立つと、言っ
た。
「勝ちなさい、セリオ。星は星の残骸の中から生まれ出でるものよ」
 そして綾香は、コスチュームをセリオに手渡した。
 今にもなくなってしまうような軽い生地のなかに、確かなぬくもりをセリオは感じた。


915 :千鶴入場 :02/02/28 23:45 ID:h30F5ecX
 鶴来屋の前にリムジンが止まる。その中からスーツを着た女性が降りてくる。
「おはようございます」
 乗降場に控えていたセリオが、中からその女性に挨拶をする。
「おはよう、今日の予定は?」
 言いながらその女性──千鶴は自動ドアを抜け、エレベーターへと向かう。
「はい、10時から会議室にて企画会議、13時から高橋様、水無月様との昼食会……」
 千鶴の二歩あとに続きながら、セリオは予定を述べはじめる。
「……、最後に明朝0時から葉鍵板にて最萌トーナメント決勝一回戦第四試合がございます。これにあわせて、23時半には会場入りしておく必要がございます」
「あら、もう? このあいだの試合からそんなに経ってないような気もするけど…」
 言いながらエレベーターに乗り込む千鶴、それに続くセリオ。
「前回は疲れたわ。何とか勝てたけれど、長岡さんは強かったから」
 つぶやきながらスーツの胸の辺りに手を当てる千鶴。
 チンと音が鳴り、エレベーターが停止する。
「それで、今回の相手は?」
 エレベーターを降り、会長室へと歩みを進めながら、問う。
「はい、Hブロック勝者のHMX-13セリオが対戦相手となります」
 セリオ──HM-13serioは、淡々と報告する。
「…え?」
 それを聞いた千鶴は、思わず立ち止まってしまった。
 前方の主人の動きに合わせ、セリオはぶつからぬよう、その場に停止する。


 千鶴は振り向き、自分のセリオを見つめる。そして少し混乱しながら口を開いた。
「今セリオといったけど、あなたとなの?」
「いえ、私は鶴来屋会長秘書としてのカスタマイズはされておりますが、基本的にはHM-13、市販用量産型に過ぎません」
「千鶴様の対戦相手はHMX-13serio、私達量産型のベースとなった機体です」
 千鶴の目を、何の感情も交えずに見返しながら、セリオは言った。
「えぃち・えむ・えっくす? …つまり、あなたがたセリオのオリジナル?」
 なお混乱していた千鶴は、それでもなんとか思ったことを口にしてみた。
「正確には違います。オリジナルではなく、プロトタイプと称されるものです」
「私達量産型──この場合HM-12,13を示しますが──は、HMX-12とHMX-13により収集されたデータをもとにプログラムされ、活動しております」
 少量ではあるものの聞きなれない専門用語にさらされ、千鶴はさらに混乱してしまった。
「……え、えっと、つまり」
 必死になって考えをまとめようとする千鶴。とりあえず自分に馴染みのある言葉で言ってみる。
「…つまり、あなたたちみんなのお姉さんみたいなものなのかしら」
「HMX-12がHMX-13との関係を説明する際に、『おねえさん』という表現を使ったというデータがございますので、問題ないと判断されます」
 セリオが言ったことを頑張って脳内変換して、それが肯定であると思った千鶴は小さくため息をついた。そして改めてセリオを見る。


「お姉さんと私が戦うことになって、つらくない? お姉さんを応援したいんじゃないの?」
 普段接してる中で、セリオがロボットであることを忘れがちな千鶴は、なんとなく聞いてしまった。
「つらい、というデータは私の中にはございません。また私のマスターは千鶴様です。マスターの不利益となることは、する理由がございません」
 淡々と答えるセリオを見て、千鶴は改めてセリオをロボットだと認識させられる。
 そう、と小さく言い、少し悲しげな表情を浮かべながら再び歩き出そうとする。
「…ですが」
 と、千鶴の背中にセリオの声が届く。
「ですが、今現在の私の中には、解析不能なバグが生じております」
 千鶴は再び立ち止まり、振り返った。
「このバグに類似したものは、以前にも観測されております」
 そこには変わらず無表情に、淡々と話すセリオがいた。
「HMX-13の前回の、猪名川由宇様との対戦の時のことですが、私達量産型は衛星回線を通じて『支援』並びに『投票』を行おうとしました。しかしながらHMX-13からの指令により、それら行為は全て禁止されました」
 しかしその無表情が悲しみをこらえているものに見えるのは、千鶴の気のせいだろうか? 
「このバグが観測されたのはこの時でしたが、その日の23時過ぎにHMX-13の勝利が確定した際に消滅したので、研究所の方に報告するのみで終わりました。研究所によると、同種のバグが他の量産型にも確認されたとのことで、同時に問題ないとの返答もありました」


「ですが先ほど、千鶴様が『つらくない?』と私に問われた際より、再び観測されています」
 千鶴は、思わず手に口を当てる。
「只今研究所の方に報告してみたのですが、現時点では他の量産型には確認されてないとのことです。…異常かもしれません」
 と、セリオの声が通常使用されているモノから、より無機的で機械であることを強調するようなものに変わる。
「ワタクシHM-13serio-0453ハ故障シテイル可能性ガゴザイマス、さーびすせんたーニ問イ合ワセルコトヲオ勧メシマス。ナオ修理ニ関スル費用デスガ、内部ばぐノ場合ハ…」
 千鶴はセリオに思わず抱きつく。その感触はロボットとは思えないほどにやわらかく、暖かい。
「いいえ、あなたは故障なんかしていないわ、セリオ。だから、だからそんな声で話すのをやめて!」
 叫びながら、千鶴は泣いていた。
「ごめんなさいね、ごめんなさいねセリオ、私が考えなしにあんなことを聞いて」
「無理しなくていいから、今日の会場に付いてこなくてもいいから、だから…」
「……千鶴様、泣くのはお止めください」
 セリオが千鶴に言う。その声は通常のものに戻っていた。


 千鶴は、思わず手に口を当てる。
「只今研究所の方に報告してみたのですが、現時点では他の量産型には確認されてないとのことです。…異常かもしれません」
 と、セリオの声が通常使用されているモノから、より無機的で機械であることを強調するようなものに変わる。
「ワタクシHM-13serio-0453ハ故障シテイル可能性ガゴザイマス、さーびすせんたーニ問イ合ワセルコトヲオ勧メシマス。ナオ修理ニ関スル費用デスガ、内部ばぐノ場合ハ…」
 千鶴はセリオに思わず抱きつく。その感触はロボットとは思えないほどにやわらかく、暖かい。
「いいえ、あなたは故障なんかしていないわ、セリオ。だから、だからそんな声で話すのをやめて!」
 叫びながら、千鶴は泣いていた。
「ごめんなさいね、ごめんなさいねセリオ、私が考えなしにあんなことを聞いて」
「無理しなくていいから、今日の会場に付いてこなくてもいいから、だから…」
「……千鶴様、泣くのはお止めください」
 セリオが千鶴に言う。その声は通常のものに戻っていた。
「…セリオ?」
「お言葉ではございますが、一回戦より千鶴様は、会場へのアクセスに際し私の回線を使用しております。失礼ながら千鶴様の独力では到達することは難しいかと存じ上げます」
 ポカンとしながら腕の中のセリオを見つめる千鶴。変わらず無表情なセリオがそこにいる。


「定時に会場に到達できないことは、対戦相手に対し失礼なことと判断されます」
「それは千鶴様の不利益となります。それを避けるため、私には千鶴様を送り届ける義務があります」
 淡々と説明をするセリオ。その無表情にしかし感情が宿って見えるのはなぜだろう、と千鶴は思った。
「わかったわ、今回もあなたにお願いすることにします」
 セリオの後ろに回していた腕を解きながら、千鶴は言う。と、セリオがハンカチを取り出して千鶴に差し出す。
「でも、応援はしなくてもいいですからね」
 ハンカチで涙をぬぐいながら、セリオにそう告げる。
「その心配はございません、私はすでにプロトタイプにより『支援』と『投票』を禁止されております」
「ああ、そうだったわね」
 小さく笑う千鶴。
「でも、見守っていることはできるでしょう。だから私と、あなたのお姉さんの試合を無理せず見てなさい」
「そしてあなたの中に生じたものを、バグだのなんだのと言わずにじっくり解析しなさい」
「承知いたしました」
 そして千鶴は小さく伸びをして、会長室に足を踏み入れる。
「さあ、仕事をしましょう。なんだかんだといって、少し時間を食ってしまったようだから」
はい、と小さく答えてセリオがあとに続く。

柏木千鶴、入場。


909 :ああっ神奈さまっ ◆KannaC8o :02/02/28 23:43 ID:fBJLMIOH
臨戦体制!?

千鶴「よろしくお願いしますね、セリオさん」
セリオ「よろしくお願いします」
ほのぼの〜

梓「あ〜、なんか対戦って感じじゃないな〜」
綾香「メイドロボに闘争本能を求めるのが無理なのかしら」
梓「ちづ姉が戦闘意思を見せれば、メイドロボも戦うようになるんだろ?」
綾香「ま、そうなんだけど…なんかいい手あるの?」
梓「ある…とっておきのが…クックック」

綾香「…このメモをセリオに読ませればって梓さん言ってたけど、何なのかしら…」
中身は絶対見ちゃ駄目らしい
綾香「セリオ、梓さんからの言づてよ」
セリオ「ありがとうございます」
綾香「それを千鶴さんの前で読んで欲しいんだって」
セリオ「かしこまりました」


セリオ「貧乳、偽善者、殺人料理…………」
千鶴「…………あなたを…殺します」
セリオ「(ピピッ、ピー…)戦闘の意思を感じました」

千鶴vsセリオ、臨戦体制!!


933 :両者入場SS双璧相撃つ!! :02/02/28 23:48 ID:lvA3BHxO
−銀英伝パクリ入場SSわからない人スマソ−
「セリオさん、忙しいところごめんなさい」
考えてみればそれも奇妙な挨拶ではあった。
「いえ、私と同じ葉陣営の仲です。遠慮なさらないでください」
 セリオの口調はいつもと変わらず冷静にそして淡々としていた。
同じ葉陣営同志、向かい合って親しく笑いあうこともあった。
その機会を自ら奪わなければならないのは残念だったが、
短時間であれそんな時間ができたことが喜ばしかった。
「セリオさん。どうでしょう? 私と共に同点引き分けで準決勝に
行きませんか?私はあなたと戦いたくない。まだ、間に合うと思います。」
「千鶴さん。私もあなたとは戦いたくありません」
「セリオさん、それなら・・・・」
「だが、あえて私はあなたと戦います。なぜだと思いますか?戦って
あなたに勝たなければ、準決勝では私を一人前の対戦相手と見てくれ
ないだろうからです」
さりげない一言は、千鶴を絶句させた。セリオの目とそして両耳の
サテライトに静かな激情のオーラが感じられ、身体全体からもその
オーラが感じられた。
「私は、何のために最萌トーナメントに参加したのか、長い間わかり
ませんでした。想像力が貧しい身の悲しさかもしれませんね。ですが
今にしてようやく得心がいく。私は優勝まで戦い続けそれによって
充足感を得るためにここまで来たのではなかったのか、と。」

「セリオさん・・・・あなた、、、酔っていますね?」
「私はメイドロボです。酔うと言うことはありません」
「ちがいます。血の色をした夢に酔っています」
セリオは目をとじ、目をひらいた。
「確かに、夢かもしれませんが、いずれにせよ私の夢の話です。
あなたの夢ではありません。どうやら接点を見いだしえないようです、
もう無益な話は終わりにしましょう」
「まって、セリオ!! もう少しでいい、話を聞いて!!!」
「・・・・さようなら、千鶴さん、私が言うのも変ですが、葉陣営を
お願いします。そして最萌トーナメント優勝を、、してください」
こうして、、、セリオは控え室を出ていった。千鶴はさらに引き留めよう
とした手を下ろし、無音の焦慮と歎をはきだした後、沸騰する感情の
すべてを、あらたな声と拳に込めて、控え室の壁に拳をたたきつけて
言った。
「セリオのバカ、バカ、大バカぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

・・・・・葉陣営の双璧ついに相撃つ。両者入場!!
(セリオマケルトカソウイウコトイッテルンジャナイヨ・・・・ユルチテ(^^;;;)


15 :セリオ、入場ッ!! :02/02/28 23:52 ID:ktdFehcz
 セ・リ・オ!!
 セ・リ・オ!!
 LOVE!! LOVE!! セ・リ・オ!!!

「はー……セリオの声援、どんどん凄くなるわねー」
 地響きがするような声援。
 満席の観客席を見回して、綾香が呟く。
「−−本当に……ありがたいです。私にこんなに……」
「そりゃ、どんどん魅力的になってるもん」
「−−魅力…的?」
「そ。私から見て、セリオはどんどん綺麗になってく。可愛くなってく。私よりも『萌え』よね」
「−−そんな、綾香様よりなんて……」
「自信持ってよ、セリオ。私は負けちゃったけど、あなたはまだ勝ちあがれるんだから」
 とん、と肩に手を置き、セリオを励ます綾香。

「そうね。セリオ、あなたはずっと、ずっと『萌え』になったわ」
 そこへ、もう一人。
 いま試合が終わったばかりの、緒方理奈。
「−−理奈さん……」
「私、あなたの試合楽しみに見てきた。どんどん萌えを強くしていく、あなたを。……勝ち上がってらっしゃい、セリオ。あなたとなら、最高の試合が出来そう」
「−−……善処します」
「つれないのね、セリオ。そこがいいとこだけど」

「あ、そうだ。勝利のおまじない、セリオにしてあげる」
「−−おまじない?」
 綾香のほうを向き、にやりと微笑む理奈。
 綾香も意味がわかり、にまっと笑う。
「そうね、私からもおまじない」
 二人の少女が、セリオの頬に唇を寄せる。
 ちゅっ
 ちゅっ
 右の頬に理奈が、左の頬に綾香が。
「がんばれ、セリオ」
「いってらっしゃい、セリオ」
 二人が手を振って、セリオを試合場に送り出す。
「−−はい、勝って、参ります」
 淡々とした、セリオの声。
 しかし、その中に勝利への意志を秘めて。

 セリオ、入場。

19 :セリオ入場SS その……幾つだ?(w :02/02/28 23:53 ID:fbVxugxt

 スタジアム控え室。
 セリオは目を閉じ、ベンチに腰掛けていた。
 サテライトからのデータが、次から次へとメモリに流れ込んでくる。
 セリオは全世界に散らばった妹――HM−13とそのマスター達から寄せられたメッセージに、残らず目を通していた。

「セーリオっ」

 一人の少女がセリオに声をかけた。
 ちょっと大きめの耳、寺女の制服、春キャベツたっぷりスープの好きな女の子――田沢圭子である。

「――なんでしょう。田沢さん」

 セリオは圭子を視認すると、そう答えた。

「ごめんねー、起こしちゃって。急がないと時間になるよ」

 圭子は申し訳なさそうに言うと、部屋の時計を指差した。

「――お気遣いありがとうございます」
「ううん。さ、いこう。みんな待ってるよ」
「――はい」

 セリオはサテライトのデータを大事に保管すると、控え室をあとにした。

 トーナメント会場は熱気に包まれていた。
 支援してくれる全ての人々の想いを胸に、セリオは会場へ足を踏み出した。

 HMX−13セリオ 入場。


24 :名無し坊 ◆AGQvvD6Q :02/02/28 23:54 ID:ZopSAH8i
こちらにて入場をば。

 コール。
 それに導かれるように、HMX−13セリオは、セコンドの綾香、浩之とともに控え室を後にした。
 三人は、無言で廊下を歩く。試合前の、心地よい緊張を、セリオも感じていた。
 徐々に大きくなる歓声。それを封じ込めた扉の前に、一人の女性が立っていた。
 前試合の勝者、日本が誇るトップアイドルにして、セリオの同級生、緒方理奈。
 試合後に、慌てて着がえたのか、彼女は寺女の制服を着ている。
 近付くと、彼女はすっと、右手を上げた。
 その仕草の意味がわからず、セリオは立ち止まった。後ろについていた綾香が苦笑して、セリオの耳元にささやく。
「あれはね、ハイタッチっていうの。すれ違う時に、同じように手を上げて、手のひらどうしを打ち合わせるの
よ。ま、相手の勝利と健闘を祈る儀式ってところね」
 セリオは、微かに頷いてまた歩き出し、すれ違いざまに理奈の手を打った。
「セリオ!」
 理奈の声に、セリオは振り向く。
「待ってるわよ」
「はい」
 セリオはぺこりとお辞儀をして、扉に向かう。
 理奈が見つめる中、アリーナへ通じる、大きな鉄の扉がゆっくりと開き、セリオは、歓声の中に飲み込まれていった。

                                         HMX−13セリオ、入場!