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最萌トーナメント 幕間SS集(2回戦)

(あかり×美凪)
494 :はね〜〜 : 01/12/21 23:18 ID:8qSKEZ8R
みちる:んに……負けちゃったね。
往人 :まあ、勝負なんてのは時の運だしな。
美凪 :はい……私は凄く楽しかったです。
往人 :負けて悔いなし……だな。これだけ晴れやかなのも珍しいな。
美凪 :全力を尽くして双方が戦ったのです……きっと応援してくれた皆さんも
そうでしょう。
あかり:遠野さん、お疲れ様でした。
浩之 :いや〜凄い試合だったな。
美凪 :あ、神岸さん、藤田さん、お疲れ様でした。
往人 :うちの美凪に勝ったんだ……準決勝頑張ってくれよ。
あかり:はい、頑張ります!
浩之 :おう!


(はるか×ユンナ)
410 :はるか。それはいいんだけどなんか眠くてしょうがない。 : 01/12/26 23:39 ID:eGNc9YjW
>>359 (←編注:リング穴氏がはるか・ユンナの特徴を聞いている)

はるか「ん」
ユンナ「……なに?」
はるか「知りたいんだって」
ユンナ「知りたいって……何が?」
はるか「リング穴が」
ユンナ「何を?」
はるか「私たちのこと」
ユンナ「……だったら最初からそう言いなさいよ」
はるか「わかると思った」
ユンナ「はいはい……まあ、見ての通りこっちがツッコミ、あっちがボケ」
はるか「ん。ボケじゃないよ」
ユンナ「ボケじゃなかったら何だっていうのよ?」
はるか「冬弥はよく、大ボケだって」
ユンナ「…………はぁ」
はるか「あはは」
ユンナ「笑うなっ! 無気力スポーツマンっ!」
はるか「……ん」
ユンナ「今の呼び方で納得したの……?」
はるか「よく言われる」
ユンナ「……はぁ」
はるか「あはは。こんな感じ」
ユンナ「ちょ、ちょっと、こんなんでいいの!? ねえ、ちょっとっ!」


(佐祐理×七瀬)
140 :名無しさんだよもん : 02/01/04 23:34 ID:EOstEq7J
負けちゃった。
いい勝負だった。
でも、ちょっと悔しいな。
勝ち負けにこだわらないはずだったのに。
ちょっと涙が出てきちゃった。
けど、上を向いて歩こう。涙がこぼれないように。
勝負に負けて涙を堪える……
これこそ乙女にしかできないわざよね。


「七瀬が車に跳ねられたあ!?」
「うん。赤信号なのにいきなり前にでたらしいよ」
「で、今どんな状態なんだ!!」
「それが跳ねたトラックはそのまま大破したけど七瀬さんはかすり傷……」
「……」
「……」
「……とにかく今病院なんだな。いこうか」
「うん」


七瀬留美、退場!!


(観鈴×岩切)
120 :はね〜〜 : 02/01/05 23:19 ID:LMkVnb83
「往人さん!勝ったよっ!!」
「ああ、本当だな」
「という事は、まだゴールじゃなかったんだねっ、良かった〜」
「しかし、不利と思われてた岩切陣営も凄かったな、さすが2回戦といった所か」
「うん、両陣営の人、お疲れさまです」
「しかし、終わったら急に腹が減ったな……観鈴、ラーメンセット頼む」
「うん、今から作るよっ」
「おい、今日くらい出前にしろよ」
「ううん、今日だから、自分で作らないと……はい、往人さん、おつかれさま!」


本当に皆さんお疲れ様でした〜。

142 :いわきりスレ690 : 02/01/05 23:37 ID:lUSw1lRX
ピンポンパンポーン

終了のチャイムが鳴り響く。
投票結果を横目で見ながら岩切は恋人や母親と喜びを分かち合う観鈴の元へ近寄った。
顔はレインコートに覆われている為、表情は傍目から判別しがたい。

負けた腹いせに観鈴を襲うのではないか?
そう感じた晴子と往人は勝利の喜びに浸る観鈴から離れ、岩切の前に立ちはだかった
晴子「あんた、うちの娘に何の用や!」
往人「事と次第によっては俺が相手させて貰うぞ」

岩切「お前らには用は無い…」
(カッ)
いきり立つ二人を岩切の鋭い眼光が射抜く。
晴子「―――!!」
往人「………」

眼光に気圧された二人をよそに岩切は観鈴の前で立ち止まり、レインコートの中から右手を出した。
往人たちの緊張した空気を感じ取ったのか
表情は先ほどとは打って変わって固く、瞳にはうっすらと涙を浮かべている。
岩切の右手が観鈴の頭へ近づく。

――もしかして観鈴ちん殴られる?!
防衛本能からかその場に座りこみ、恐竜の人形を抱きしめた。
観鈴「…が、がお……」

(なでなでなで…)
観鈴「……え?」
岩切「あたしの完敗だ…見事な勝利だったぞ」

周りのみんなには判らなかったが観鈴の目には
フードの奥で暖かな笑みを浮かべる岩切の顔が見えた。

あっけに取られる周囲を無視し、岩切のなでなでは続く。
岩切「次も勝て…いや、これから待ちうける運命にも勝つんだぞ…
   お前にはみんながついているんだからな…頑張れよ」
観鈴「うん、観鈴ちんがんばる!往人さんとおかあさんと一緒にがんばる!」

向日葵のような観鈴の笑顔を見て、心の区切りがついたのか最後に頭をポン…と叩いて
入場時と同じ様に疾風の如く岩切は舞台を去っていった。

神尾観鈴VS岩切花枝 終了

160 :なにがしだよもん ◆ie2wgyeo : 02/01/05 23:47 ID:D4M4Si0N
>>142 「岩切さぁぁぁーんっ!!」
「岩切の姐御ぉぉぉーっ!!」
「素敵だァァァ!! 最高だぁぁぁーッ!!」
「よく頑張ったァァ!! よく頑張ったァァァ!!」
「行くなぁぁ!! 観鈴ちんの友だちになってくれよぉぉ!!」
(ざわざわ)
「そうだ、そうだ!! 葉とか鍵とか関係ないだろーっ!! 友だちになってやれよぉぉっ!!」
「こ、拳で、か、か、語るお前なら、わ、わかる…だろーっ!! し、試合の相手と、と、と、友だち…にっ!!」
「岩切! 岩切!」
「カンバーック! 岩切ぃぃ!!」


ウワァァーン!! (T_T)
岩切の去りざま、すげぇかっこいいよぅ。


(ひかり×茜)
157 :がんばれひかりん : 02/01/06 23:21 ID:wtqwcdEf
<ひかり編終了SS「遠き山に陽は落ちて」>

「お母さん…負けちゃった…」
 虚脱感に襲われたあかりは、ぺたん、と座り込んだ。
「ま…健闘だろ?」
 隣りにどっか、座り込み、ぼそっと呟く浩之。
「ん…そだね…」
 こつん、と頭をぶつけ、そっと彼にもたれかかるあかり。
「あれ?」
 あかりは、突然、立ち上がって辺りをきょろきょろ見回した。
「…お母さんは?」
「…いない…いないぞ!?」
 浩之も眉を顰めて立ち上がる。
「まさか…まさか負けたことに絶望して世をはかなんで…」
「ば、馬鹿っ! そんなことがあるわけないだろ!」
 パニックに陥り賭けたあかりの肩をしっかり押さえ、落ち着かせる浩之。
「とにかく探すぞ!」
「うん!」

 ばたん! 大きく戸を開けて駆け込むあかり。
「お父さん! お父さん! お母さんが、いなくなっちゃったの!」
「?」
 首を捻って娘を見つめ返す父親。だまって反対側に顔をむける。
「?」
 そちらに目を向けたあかりは…。
 目で見るよりも先に音を聞いた。記憶の底にまで染みついたまな板の上で使う包丁の音。
 そして、匂いを感じた。何度と泣く繰り返された夕食の、香ばしく焼ける魚の匂い…。
「お母さん〜!」
 思わず母親に抱きつくあかり。
「どうして…どうして、一人でいなくなっちゃたの?」
「あ、ごめんね、今日、生協がお魚の特売日だったから」
「あ」
 思わずこけそうになるあかり。
「あかり…あなたのときは頑張ってね」
「え…?」
 思わず母の顔を見上げるあかり。
「お母さん、こういうイベントだ〜いすき!
あのね、あのね、やっぱり、お弁当は、やっぱり、
ビフテキに豚カツがいーかしらっ! 敵に勝つ! ってね♪」
(…ひょっとして自分はおろか娘の勝敗さえどうでもいいんじぁ…。)
 一瞬脱力して。
 そして、あかりは、くすっ、と笑った。

   <終わり>

164 :詩子さん ◆SHIIko2U : 02/01/06 23:26 ID:KQiYa5dQ
茜書き直し退場二次小説、
「遠き山は茜色」

「茜、おめでと」
「ありがとうございます、詩子」
 あたしは茜を軽く抱きしめる。
 よくがんばったね、茜。
 そんな、あたしの視線の端で、
 あわてて帰るひとりの女性の姿が。
 あたしはなんだろうと思いつつ、茜から離れた。

「…いない…いないぞ!?」
 茜の手を握ってリングを離れ、会場を出るときに聞いたのは
 相手陣営の男の子、確か藤田君が、
 あわてた様子でそう叫んでいる声だった。

「とても綺麗な夕陽ですね」
 遠くの山に沈んでいく夕陽、
 山の向こうはすっかり茜色だった。
「せっかくですから今日は夕飯ご馳走します」
「ほんと?」
「いいんですよ、感謝の気持です」
「わ〜い、だから茜、大好き!」
「わっ、し、詩子…」
 茜は真赤な顔をしていた。

 その帰り、買い物に行った生協でみたのは、
 一生懸命魚を探しているひかりさんだった…


やっぱりあたしにギャグは(以下略)


(理奈×南)
472 :南プロジェクト完結SS「プロジェクトは終わらない」 : 02/01/13 23:07 ID:5yygKUmC
「素晴らしい試合、ありがとうございました」
その時私は、ニコリと微笑みながら彼女に手を差し出していた。
彼女の持つ太陽のような、激しく、そして優しく射す光。
そんな心を映したかのような、彼女を支える支援の数々。
それらが一つに重なり合って、光輝く旋律を奏でていた。

けれども、負けたとは思わない。
自分を支えてくれた支援、メッセージの数々。
紛れもなく、自分に対しての想いの形。
それらを一つ残らず、受け取ることができたのだから。

だからこそ、素直に手を差し出せる。
だからこそ、彼女と、その仲間達の前途を祝福できる。

「がんばってくださいね」
私の言葉に、彼女はニコリと笑いかけてくれる。
そして私の差し出した掌を、固く、暖かく握り返してくれた。

スポットライト輝く舞台から、私は今降りる。
(なぁんだ)
ふと可笑しみが込み上げてくる。
この僅かに薄暗い“裏”こそ、自分の晴れ舞台。
そう、私はまだ終わりじゃない。私の舞台は、むしろこれからなんだ。

(頑張りましょうね)
ステージの上の彼女に、そっと小さくエールを送る。
お互いの、これからに。


――プロジェクトは、まだまだ終わらない。

534 :472へのレス : 02/01/13 23:43 ID:ihSC07/1
「勝った……ううん、違うわね」
 背を向けて去りゆく南を見送る。その姿はステージの隅へ進み、
薄暗がり……スポットライトの届かぬ世界へと、次第に消えていく。
 彼女は言った。自分は裏方なのだと。こみパの裏方として、
多くの同人作家を輝かせる事こそ自分の喜びなのだと。
 ならば、南は負けたのではない。
 ただ戻るだけだ。自分のいるべき場所、自分が必要とされる場所へ。
そしてその場所では、理奈は南の足元にも及ばない。
 緒方理奈は知っている。
 自分がアイドルでいられるのは、自分を支えてくれる多くの人が
いるからこそだと。その人達は決して表に出ないけど、紛れもなく
かけがえのない存在。

「はいはい、退場はこちらです。押さないで下さ〜い」
 例によって、自分の試合の客を出口に誘導する南がいる。
 その表情は生き生きとしていた。ステージの上にいた時よりも、ずっと。
 理奈は、その姿を遠くから見つめ……そして、背を向けて歩み出した。
自分の進むべき場所……さらなる戦いの世界へ。

「南さん……がんばろうね、お互い」

 緒方理奈、退場。

(理緒×吉井)
879 :さぁ恒例のノーサイド退場SS : 02/01/15 23:28 ID:lgvqv+Yj
「いい試合、ホントにありがとっ。
3回戦も、それより後も、ずっとずっと頑張ってねっ」
ささっと理緒は、手を吉井に差し出す。
「うん。……できるだけ頑張ってみる。ありがとう、雛山さん」
吉井の掌が、理緒のそれに握られる。

お互い顔なじみではない同士が、何の因果かぶつかった2回戦。
吉井の勝利で幕を閉じたこの試合も、しかしながら皆満足げだった。
お互い、全力でぶつかったもの同士だからわかる。
勝負を越えたものを、理緒も吉井も、両陣営の応援団も。
そして、この試合に携わる多くの人たちにも、伝わっているだろうから。

吉井は、歓喜に溢れる岡田や松本のもとに。
控えめな満面の笑みを浮かべ、その輪の中に飛び込んでゆく。
それを背に理緒は、静かに、静かに………会場を去ってゆく。



――ずべしゃああっ!



「あいたたた……、……てへへ」

やっぱこれでこそ、雛山理緒なのかもしれない。


(梓×秋子)
552 :決着SS : 02/01/17 23:10 ID:DB7VyvMg
リング穴「柏木梓が敗れたァァァァァァァ!
     恐るべきは水瀬秋子ォォォォ!!」

神岸あかり「こ・・・これほどの・・・これほどのものか、水瀬秋子ッ!!!」

リング穴「現役女子高生ヒロインが一児の人妻に喫した敗北!
     オオオッ、柏木梓選手立ち上がろうとしている!
     しかし勝負はついているッ!決着はついているゥゥゥ−ッッ!」
集計人「勝負ありです、梓選手」
集計人「梓選手ッッッ」

秋子「料理ができる女子高生!」
秋子「君達はそう言ったなッッ!
四人姉妹の食卓を賄う調理力ッ!
   たかだか18年でそこまで辿りついた努力は誉めておこうッ!
   しかしながら柏木 梓よ」

秋子「君の居る場所は既に!私が20年前に通過した場所だッッッ!」

秋子「従って現時点での対決で君の勝ちはあり得ない!」
秋子「素直になれない幼馴染という萌えを極めたことは賞賛しよう」

リング穴「完全決ッちゃ〜〜〜〜〜く!!!」


(すばる×彩)
329 :終了、そして… : 02/01/19 23:12 ID:gZ5XBNZL
「終了ですの☆」
「終わり…ですね」
「とりあえず結果は良いから、和樹さんになでなでしてほしいですの☆」
「ぱぎゅう〜すばるさん…ぬけがけはずるい…ですの」
「彩さん…」
「ご、ごめんなさい… 口癖が…うつってしまいました…」
それを見てすばるは微笑み始める
つられて彩も…
「またこみパで合うですの☆」
「はい」

和やかに語る二人…
すると
「大変やー すの字、彩やん!」
「由宇さん、どうしたんですの?」
「和樹が!」
「和樹さんに…何か…あったんですか?」
「ええか! 落ち着いて聞き…」
「か、和樹が殺人未遂で…葉鍵裁判所に告訴されたんや!」
「え…」
「しかも、彩やんに証人として出頭するようにとのお達しや!」
「そ、そんな…」
「ぱぎゅうう、和樹さん」
「わたし…行って来ます。そして…和樹さんの無実を…証明してきます」
「すばるも、いくですの☆」

こうしてトーナメント終了後、一目散に裁判所に向かう二人…
果たして和樹の犯した罪とは?
その時大志の取った行動とは?
緊迫した展開で『葉鍵裁判所 〜第二小法廷〜』に続く…


(晴子×葵×マルチ)
233 :HYAKUGOU ◆Hm100kPM : 02/01/20 23:42 ID:M4NdhnSt
【二人と一人と…】

「そうか…」
 晴子はふと、西の空を見上げた。時刻はなんとなく日没直後。鮮やかな橙色に染め上げられた空。もう地上からは見えない太陽の光を照り返し、やはり橙色に輝く雲。晴子の顔も同じ色に染め上げられていた。
「あの…」
 その様子を見守る葵とマルチにはかける言葉が見つからない。
「おいおい、なんやねん、その顔は? それが勝者の顔かいな?」
 気配を感じたのか、振り返った晴子は、にやっと笑った。
「…って言っても片方はうちと同じ敗者やったな。
…だったら敗者らしい顔をせんかいっ!」
『ええっ!?』
 思わず声を揃えて言ってしまい、顔を見合わせて困惑する二人。真剣に敗者らしい顔・勝者らしい顔を作ろうと努力する。
「ボケに決まっとるやろうが、ボケに…」
 脱力し、手首だけひらひらさせて制止する晴子。
「は…はわわーっ…。そ…そうだったのですかぁ〜…」
「…あんたロボットにしては純粋すぎるで? オメガ因子ぐらいつけてもらった方がええんちゃうか?」
「す…すみません! 今度、保科先輩のところで特訓してきます!」
「あほかいっ! この体育会系が! どつかれるで?」
 天然ボケコンビ…いや、コンボに鮮やかな合いの手を入れてみせる晴子。

「…ま、しかし、その様子では、うちの心配は無用やったみたいやな?」
「え?」
 葵は思わず聞き返した。あいかわらず、にやりと笑っているが、軽く真面目さの混じった声に聞こえたのである。
「二人の間にわだかまりが出来るぐらいやったら、うちが代わりに勝ってやろうと思っとったんやけどな…」
「…そ…そうだったんですかぁぁぁ〜っ…!」
 涙もろいマルチはもう目を涙で一杯にしてしまっている。
「せやから、冗談やって!」
 苦笑いする晴子。
「そうですか?」
 軽く笑って首を傾げる葵。ふと、横を向いたマルチと目があった。どちらからともなく微笑みがもれる。

「じゃ! うちはこれで!」
「あ…」
 あっさりと背を向けた晴子。突然のことにしばらくそれを見送ってしまった葵とマルチは互いに顔を見合わせると大きく頷いた。たったった…とその後を追う。
「あ!」
「はわわーっ!? ど、どうしたんですか?」
 突然立ち止まった葵の背に思わず鼻をぶつけてしまうマルチ。
 夕焼けのため逆光で影になった晴子の横に、小さな影がもう一つ、飛び出してきたのである。
「…たしか…娘さん?」
 ぽつりと呟く葵。
 ここからは何を話しているか聞こえない。が、ややあって、大きな影は小さな影の頭をくしゃりとかき回すと、再び歩き出した。二つの影が並んで小さくなっていく。
「私たち…行っても、お邪魔みたいですね?」
「そうだね」
 マルチと葵は顔を見合わせて、また、笑った。

<おわり>

集計さん、今日は本当にお疲れさまでした…。
…まだおわってませんが…。


(志保×玲子)
543 :どっちもお疲れ様♪ : 02/01/22 23:24 ID:9w6LWJgN
「あれっ!?」
「おっ」
「か、勝ったの、あたし?」
「ふーん、どうやらそうみたいだな」
「うっそーーー!? やったあああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「そうかそうか、そりゃよかったな……チッ」
「って、ヒロ、あんた何ごそごそしてんの?」
「あ、い、いや別に」
「あーーーーーー!! 何よ、この『志保敗退残念賞ざまあみろby浩之』ってのは!!」
「いや、ただのネタだ!」
「ふざけないでよ!!」
「ぐわっ、いてて、引っ掻くなよおい」
「ったく……あ」
「ん?」

「志保さん、おめでと」
「あ…玲子さん」
「にゃっはっは、あたしは負けちゃったけど、志保さんならま、しょうがないかな」
「ううん、玲子さんも凄かったわよ、応援の熱気とか!」
「えへへ、ありがと。ね、志保ちゃんって呼んでいい?」
「もちろんよ。あたしも、玲ちゃんって呼んでいいわよね?」
「うんっ。それじゃ、いっちょ、みんなで飲みに行きましょうか!!」
「賛成―――♪ あたし、こみぱってよく知らないのよね〜」
「にゃは、みんないい人ばっかりだよ!」
「玲ちゃんの彼氏、あたしにも紹介してよね〜、あの、和樹とかいう人!」

「おーい……俺を忘れないでくれ〜……ショボーン」


(千鶴×松本)
528 :終了後SS : 02/01/23 23:23 ID:uwdyqF0I
試合終了後の熱気冷めやらぬ闘技場にて

「勝利した柏木千鶴選手に敬意を表し、同選手のテーマ曲を斉唱いたします。

 ♪だ〜れも知らない、知られちゃいけない〜 千鶴さんの胸のことォ〜
  何も〜言えない〜話しちゃいけない〜 千鶴さんの胸のことォ〜
  梓には抜かれて〜る〜 楓にも負けるか〜も〜
  このささやかな秘密〜 護りたいだけ〜
  今日も支援だ千鶴さん〜 次も支援だ千鶴さ〜ん〜
 
 ち・・・千鶴選手・・・ど、どうしてここへ・・・
 な、何をするんですか千鶴選手・・・や、やめてください千鶴選手・・・
 や、やめて!千鶴さん!!
 やめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてやめ・・・

 プツッ・・・ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

544 :松本退場SS : 02/01/23 23:32 ID:6b+YLP0G
吉井「終わったね・・・」
松本「終わったねぇ〜」
岡田「あれ?あんた千鶴さんのところで寝てなかった?」
松本「うん、さっき起きたとこ」
岡田「まさか、ここまで大敗するとは・・・我が友ながら情けない・・・うっうっ」
吉井「岡田、泣かなくても・・・相手は痕の主役の一人、こっちはサブキャラの一人だから
   当然の結果が出ただけだよ?」
松本「別に良いじゃん、あたしこの試合、とても楽しかったよ?」
吉井「そうそう、楽しんだ者勝ちだよね、この試合」
岡田「これで残るは吉井だけか・・・」
吉井「正直、ここまであたしが残ってるのが不思議で仕方ないんだけどね。
   明日は我が身、かなぁ・・・」
岡田「いーや! 成せばなる!成さねばならぬ何事もっ! 
   次こそは吉井に更なる強力な支援をっ!」
松本「でさ〜、お腹空いたからどこかで何か食べて帰りたいんだけど〜」
岡田「・・・感傷とかそういうのと縁遠いねあんたは・・・」
松本「だって〜、あたしはあたしだしぃ〜」
吉井「これから松本の残念会を兼ねてどこか食べに行こうね。どこにしよう?」
松本「あー、あたしヤックが良い!」
岡田「またヤックかい! ・・・まぁ良いわ。今日は松本の分、好きなだけおごった
   げる。ほら松本、行くよ!」
松本「わーい!」

松本リカ、笑顔で退場。


(澪×栞)
746 :名無しさんだよもん : 02/01/24 23:02 ID:4M2lPj8N
「澪さん。お疲れさまです。」
『お疲れさまなの』 『いい勝負だったの』
「そうですね。ふわ〜〜、ちょっと疲れました」
『疲れたの』 『帰って寝るの』
「私もゆっくり休むことにしましょう」

「あれ? 試合結果は見ないのかい?」

「そんなの、関係ないですよね?」
『そうなの』
即答する栞と、それを笑顔で返す澪。

そう……。
最愛の人を待ちつづけた彼女と、
最愛の人の前に帰って来た彼女。

立場は全く逆であっても、
試合前から、二人には通じ合えるものがあったのだろう。
そして、今の二人には帰るべき場所がある。
どちらがより萌えキャラなのか、など何の意味があるだろうか。

「それでは、また遊びましょう。澪さん」
『バイバイ、なの』

最高の試合を演じてくれた二人に、盛大な拍手を。

780 :グラップラー栞 ◆ji55qubQ : 02/01/24 23:15 ID:nn/ZYNMN
控え室に向かって悠然と歩いていく栞。
その前に白衣の女性が立ちふさがった。
最萌ドクター、霧島聖。
「準決勝を辞退しなさい」
栞は呆れたようにくすくす笑って通り過ぎようとする。
ブンッッッ!!!
栞に向かって拳を振るう聖。小型ミサイルの爆発にも匹敵する
その破壊力は栞を通路の端まで吹き飛ばす・・・はずだった。
だがその拳はスケッチブックで軽々と受け止められた。
「痛み止めの切れた今なら・・・私にかなうと思いましたか?」
そう言いながら栞は微笑を浮かべた。その口元に人差し指を当てる。
聖は両手でスケッチブックを取り上げようとするが、微動だにしない。
「両手なら・・・重病の私にかなうと思いましたか」
栞が力まかせに引っ張ると、聖はバランスを崩して床に転倒した。
顔面を四角い凶器で押さえつけられ、聖は呼吸困難に陥った。
聖は慌てて栞の腕を2回叩き、降参の合図をする。
栞は立ち上がると、それきり聖には何の興味も無くしたように歩き出した。
「まって!栞!」
「病弱を売りにしてるのが卑怯だから止めるわけじゃないの!」
「貴女は次の試合で確実に死ぬ(←倍角)!!!」
「嘘じゃないわ!貴女の体は限界を超えているのよ!栞ーーッ!!」

789 :おめしお ◆.pWGYuqM : 02/01/24 23:19 ID:Kvdu+SFX
「……」
「モスクワでアイス、奢ってくれるんですよね?」
「……」
「ね?」
「優勝したらな」
「祐一さん、約束破りました。ひどいです」
「いや、ほんのアメリカンジョークのつもりだったんだ、栞」
「……」
「栞?」
「ふふっ、わかってますよ、祐一さん」
「今までは全てネタか」
「いえ、祐一さんが社会に出てお給料をもらうようになったら、連れて行ってもらいます」
「……栞も働けよ」
「こんな病弱少女を働かせるんですか?」
「病弱ならモスクワでアイスなんて無理だな」
「うっ……わかりました。一緒にお金貯めて行きましょう」
「……そうだな」

「兎にも角にも、皆さん、応援ありがとう御座いました」

799 :「ハッピーエンドにしよう」 : 02/01/24 23:25 ID:bBbdY7ad
「はい、それじゃあ今日の練習はここまで。みんな、お疲れさま!」
「お疲れさまでしたーーっ!!」
 一週間に及んだ夏合宿の終わりを告げる部長の掛け声に、演劇部員達は威勢良く答え…
…そして、へなへなと床に倒れ込んだ。
「あうー、死んだー」
「きっつかったー……もう駄目……」
「ほらほら、そんなところで寝ない! ちゃんと汗拭いて、着替えて、それからゆっくり
休みなさい。体調管理もできない人に、役はあげられないわよ!」
「うい〜〜」
 部員達は、重い体を引きずって稽古場から出ていく。その姿は、『ゾンビの群』という
タイトルで舞台にしたら全国大会ぐらいには進めるのではないか……などと思えるほどだった。

「あー、やっと終わったー……」
「うー、先輩ー、うちの合宿って、毎年こんなに厳しいんですかー?」
「安心なさい……三年生になる頃には、この苦痛が快感にすら思えるそうだから……」
「そんなのヤです〜〜」
 その部屋に割り当てられた四人のうち三人までは、思い思いの姿勢で床の上に投げだし、
行き倒れさながらの有様だ。
 そんな中、一人だけがぱたぱたと部屋の中を行き来し、なにやら自分の荷物を漁っている。
「上月先輩、元気ですね……」
「燃費の差よ……小型軽量化の勝利……」
「うー、力を……力を分けてぇ……」
 そんなマグロたちを尻目に、澪は荷物の中から厚い紙の束を取りだした。
『あのね』
 その束を見せながら、スケッチブックを同室の少女達に向けて拡げた。
『これ、見てほしいもの』

「んー、なになに?」
 他の三人は、床を転がったり這ったりしながら澪の元までやってくる。
「あ……これ、お芝居の脚本?」
 うんうん。澪は、大きく肯いた。
「へー……なんか休み前からごそごそとやってると思ったら。どれどれ……」
 最初に受け取った少女が、ページをめくる。一枚を読み終わると、隣の少女へ渡す。
そうして、三人の演劇部員達がその脚本に目を通していった。


 それは、病に冒された一人の少女の物語だった。
 幼い頃から重い病とともに生き、病室以外の世界をほとんど知らずに生きてきた少女は、
次第に希望を失っていく。
 死を目前にして、最後の願いを叶えようと、彼女はささやかな旅に出る。
 そして、旅の中で出会う人々とふれ合い、傷つけ合い、恋をし……そして、次第に希望を
取り戻していく。
 そんな物語が、少女の心の動きを中心に丁寧に語られていた。


「はあ……スゴイですね。面白いですよ、これ」
「うーん、ちょっとありきたりって気もするけど……」
「その辺は見せ方で何とかなるかな……。それと、最後の落ちの付け方で……あれ?」
 続きを読もうとした手が止まる。そこに重なっていたのは、真っ白な紙だった。
「上月さん、これ、最後のシーンが無いよ? どうしたの?」
 澪は申し訳なさそうに俯いて、
『決まってないの』
「決まってないって……」
『決められなかったの』
「えー、それじゃ話にならないよ。この話、どう終わらせるかで全然違う話になっちゃうよ?」
『それで、相談したいの』

「うーん……確かに、難しいですね。結局助かりませんでした、じゃあ酷すぎるし……かといって
安易に助けてしまうのも……」
『そうなの』
 うーん……と一同考え込む。

 やがて、四人の中のリーダー格―――彼女は脚本志望だ―――が、パン、と床を叩いて身を起こす。
「よし、ここで固まっててもしょうがないよ。疲れたし。あとは夕飯まで自由時間だし。気晴らし
がてら、どっか甘いものでも食べに行こ? そこで、もう少し考えて見よう」
 そう提案すると、残りの二人も頷いて立ち上がる。まだまだ若い彼女らのこと、遊びに関する
エネルギーは別物であるらしかった。
「うん、賛成ー。で、どこ行く? この辺、おいしい店ってあるのかな」
「そうねえ、こういう日はおしることか食べたいなあ」
「あ、商店街の方に、パフェのおいしい店があるって聞きましたよ?」
『お寿司』
「「「却下」」」


「上月さん、この話を思いついたヒントとか、そういうのって無いの?」
 合宿所を出て、賑やかな市街を目指して歩いていく途中も、話題は自然に澪の脚本についての
事になった。
 澪は、いつも持ち歩いているスケッチブックをぺらぺらとめくり、一番最後の方のページを
拡げて見せた。
『がんばれ』と、それだけが書かれた紙が、丁寧にテープで貼り付けられている。そこだけは、
元々そのスケッチブックのページではなかったようだ。
「なに、それ?」
「あ、それって上月先輩の字じゃないですね?」
 そのページには、赤い文字で『がんばれ』とだけ書かれている。澪が使うのはたいてい青、
あるいは黒のペンだったし、澪のやや丸みを帯びた丁寧な文字と違って、妙に雑……というより
乱れた感じの字だ。
『これをくれた人の話なの』

「その人が、この病気の女の子?」
「…………」こくこく。
「はあ……それで、その人はどうなったんですか? 治ったんですか?」
 澪は、悲しげな表情になって答えを書き込む。
『知らないの』
『病院でちょっとだけ会っただけなの』
 はぁ……と一斉にため息が漏れる。
「まあ、実話をそのままって訳にもいかないし……しょうがないか」
「…………」うん。
「あ、でも、病気の女の子が上月さんに『がんばれ』なんだ。普通逆だよね」
「うん……そっか、その辺がこのお話のミソな訳ね」
 こくこく。
「なるほどね……。なんとなく糸口が見えてきたかな……」
 そんな会話を交わしながら歩くうちに、彼女達は商店街へと足を踏み入れていた。
夕方の買い物時ゆえ、人通りもそれなりに多くなる。

「あ、あそこの店なんかどうです?」
「うん、良さげだね。ねえ、あそこでいいかな?」
「いいよー」
 うんうん。
 さっそく店のショーウィンドウをのぞき込みに行った他の二人を追いかけ、澪と脚本
志望の子が道を横切ろうとしたとき。
 どんっ。
「あっ……」
 話に気を取られていた彼女が、彼女の脇を擦れ違おうとした少女と強くぶつかった。
 ばさばさ、と少女の鞄から荷物がこぼれ落ちる。荷物は様々な画材だった。絵の具、筆、
スケッチブック。

「あーっ、すいません、よそ見しちゃってて……」
「いえ、こちらこそ……」
 あうあうあう。
 三人は、あわてて散らばった画材を拾い集める。うっかり通行人に踏まれでもしたら
大変だ。
 散らばった小物を集め終え、最後に持ち主の少女がスケッチブックを拾い上げる。
 それを見守っていた二人の目に、一つの言葉が飛び込んだ。

 青い色。丸みを帯びた丁寧な文字で。
『がんばれ』
 その、一言だけが。

「すいません、あの、どうもありがとうございましたっ!」
 その少女は、何を急いでいるのか、スケッチブックを脇に抱えると、あわてたように
走り去る。

「……ねえ、今の……」
 呆然と、少女の去った方を見つめながら呟く。
 少女の向こうで、一人の少年が大きく手を振りながら彼女を迎え入れる。
 そして、二人は寄り添いながら人混みの中へ消えていった。

 澪は、はっとしたように自分のスケッチブックを拡げる。
 そして、一つの文章を書きこんだ。

『ハッピーエンドにするの』
「…………はあ?」
『お芝居の終わり方』
 見せられた方は少しの間澪を見つめ、それからさっきの少女が去った方を見つめ、
そして空を仰いで……笑顔を浮かべて、澪に答えた。
「しょうがないなあ……よっし、じゃあ、がんばって考えてみよっか」
 うんうんうん。


「せんぱーい、何してるんですか、こっちこっち〜」

 店の前から、二人を呼ぶ声がする。
 澪はそれに答えて手を振り、友人たちの方へ歩きだした。
 そして、もう一度だけ彼らの行った先を振り返る。
 少女と少年の姿は、もう人混みにまぎれて見えない。
 それでも澪は、見えないその背に向かって、スケッチブックを大きく振って見せた。


 ―――そのスケッチブックの中には、こんな言葉が込められている。

   『がんばれ』

   『ハッピーエンドにするの』



 葉鍵板最萌トーナメント二回戦Gブロック
 美坂栞、ブロック準決勝に進出!


(坂下×由宇)
136 :名無し坊 ◆AGQvvD6Q : 02/01/26 23:29 ID:y5OavaOv
どうやらファイナル出た様なので、坂下退場SS。

「負け、か」
私は、思ったよりさばさばした気持ちで、結果表示板を見上げた。
「好恵・・・」
気遣わしげに見つめる綾香に、私は素直に笑顔を向ける。
「よく頑張ったわよね、我ながら」
そう、正直、一回戦だって勝ち抜けると思わなかったから。
「いろんな人にも支えてもらえた。だから、悔いは無いわ」
本当は、ちょっと、いえ、だいぶ悔しい。負けず嫌いの格闘家だもの。でも今の私の実力はここまでだ。
だから、潔く、リングを去ろう。
「綾香、頑張ってね。私と、葵の分まで」
少し涙目の綾香は、それでも力強く頷いた。
リングの向こう側から、対戦相手の猪名川さんがやってくる。
私は、自然と手を差し出していた。
「また、やろう、猪名川さん」
ぎゅっと手を握り返して、彼女も頷く。
「そうやね。とりあえず、あんたと、あんたの背負った思いの分まで、うち、頑張るわ」
そう、私と、柚木さんの分まで。
勝った者は負けた者の思いを引き継いで、闘いつづけていくしかないんだから。



(香里×みどり)
766 :シリーズ 今日の香里さん : 02/01/27 23:06 ID:zNXS85xd
あ、相沢くん。おはよう。

そう言えば、応援…してくれたんだって?栞から聞いたわ。
あの…あ、ありがと…。

べっ…別に照れてなんかいないわよっ!
か…勘違いしないでよね。

北川君も私に入れてくれたって?
う〜ん、厚い友情を感じるわね。

な、何泣いてるの?私何か変なこと言った?

そ…そう?まぁ、そうまで言うなら聞かないでおいてあげるわ。

…え?
そんなこと言ってたの?あの子…。
そう…かなわないのは私の方なのにね…。

…ちょっ…泣いてなんかいないわよ!
もう!…デリカシーの無い男ねっ。栞もこんなののどこが良いのか…。

うん…そうね、私も頑張ってみようかな。あの子には悪いけど、やるからには本気で行くわよ。

え?…別に、お遊びに本気になったりしないわよ。
もっと別のこと。

うん?秘密。

じゃぁ、秘密♪

もう。そんなこと、本人を目の前にして言えるわけないでしょ?

うふふ。言葉通りよ。


(未夜子×セリオ)
591 :Moon退場SS――月のように優しく、暖かく : 02/01/28 23:11 ID:O+F10SaA
「いい試合、ありがとう。これからも頑張ってね」
「――こちらこそ、本当にありがとうございました」

二つの掌が、固く、暖かく握られる。
今ひとつの掌の持ち主、セリオ。メイドロボという、アンドロイドの一種。
けれどそれが何であろう。掌に伝わる暖かい気持ちは、なんら人間と変わらない。

花道から未夜子は退場する。
会場全体の、入場時とは比べ物にならない彼女へのエール。
不可視の力の先駆けとはいえ、こういう雰囲気はどうも苦手だ。
顔を真っ赤にしながら花道向こうの渡り廊下に目をやると、そこには仲間がいた。
巳間晴香、名倉由依、鹿沼葉子。――郁未の大切な親友たち。
巳間良祐、名倉友里。――未夜子と同じ、娘に、妹に、支え、支えられの仲間たち。
高槻。――まぁ、高槻。
そして、名もなき少年。
月の名のもと集いし仲間たちが、その最後の選手、未夜子を待っている。

未夜子はとことん、こういう雰囲気が苦手なのだろう。
顔を真っ赤にして、視線を泳がせている未夜子。
そんな彼女に痺れを切らし、仲間たちが駆け込んでくる。
未夜子を中心に輪になって、彼女の健闘を騒ぎまくって称えまくる。
照れまくり、されど嬉しい未夜子。けれども、彼女は気づいていた。
そんな仲間たちの輪が一箇所だけ欠けていることに。

「おかあさん。……おつかれさま」
両手に入りきらないほどの、花束。
そんな両手いっぱいの花束をもって、
目を潤ませながら、天沢郁未は笑いかける。

「……ありがとう……郁未……」
顔を真っ赤に染めたまま、その瞳からは涙がこぼれて止まらない。
だけど、そんなものかまうものか。誰が見てようとかまわない。

万雷の拍手と歓声が飛ぶ。
仲間たちの祝福と笑顔の中で。
十重二十重の、満月のような、大きく優しい気持ちに包まれて。
――郁未と未夜子は、お互いの想いを確かめるように、優しく、暖かく抱き合っていた。